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担任を通りこして、校長に苦情が持ち込まれたら、どうすればよいのでしょうか

 だれしも自分の悪い点を指摘されることは快いものではありません。
 ましてや自信をもって子どもを指導しているつもりの教師にとって「意見があるなら、直接言ってくれればいいのに」と、怒りの気持ちがわいてくる心情は無理からぬものと思われます。
 しかし、担任は常に子どもの「いたらぬ点を指摘」する側で、「自分の言動を振り返ることが少ない」ことを忘れてはならないと思います。
 担任である自分に対する数少ない苦情にさえ、落ち込むほどなのですから、1日に何度も注意を受ける子どもの気持ちは、どうなのかと考えてみることも必要と思います。
 
「子どもに善悪の判断を身につけさせるため」とか「この時期に、この子のいけない点を直しておかなければ」という大義名分が先立ち「性急に指導していなかったか」「長所より短所に目を向けていなかったか」を振り返るとよい。
 また直接、担任に苦情を持ち込んだら、よけい、わが子が辛い目に合うのではないかという、保護者の気持ちがあるではないか。
 担任にとっては辛いことですが、素直な気持ちになって、自分が指導者として大きく成長するための試練と受けとめ、学級運営を改善するよい機会にしていくよう、発想の転換を図ることが大切です。
 では、どうすればよいのでしょうか。
 子どもが元気な顔で毎日「ただ今」と学校から帰ってくると、保護者は安心して苦情など持ち込まないものなのです。
 子どもが毎日、楽しいと感じ、満足する学級にするには、
(1)
子どもの学習意欲がわく授業づくり
 授業は教師にとって「いのち」ともいうべき大切な切り札です。子どもが主体的に取り組み、一人ひとりの個性が生かされるような授業を意識した教材研究に取り組むことが求められます。
 子どもが興味・関心をもつ教材開発や、子どもの探究心が満たされ、調べ学習へと発展する教材研究などが必要です。
(2)
きめ細かな観察に基づく子ども理解
 子ども一人ひとりの個性が異なります。それぞれの好きなものや特技だけでなく、休み時間や登下校の様子に目を向けると、乱暴だと思っていた子がやさしかったり、友だち同士になると態度の変わる子がいたりするものです。気のついたことはメモしておきましょう。
 そして、子どもの良い点は、機会があったら、ぜひ保護者に伝えてあげましょう。 
(3)
学級内のもめごとに対する適切な処理
 子ども同士のいさかいはよくあることですが、一方がけがをさせられたりしたときは、その日のうちに解決し、仲直りさせてから帰すようにしましょう。
 相手の人権を著しく傷つける言動のあったときも、十分納得させることが大事です。常に公平な目で見、冷静に両者及び第三者の話に耳を傾けて解決していく教師の姿勢が、子どもや保護者の信頼をかち得るものです。
(4)
学級経営の方針や担任の誠意や人間性を平素から理解してもらうようにする
 学級経営の方針を理解してもらうよう、1年間の見通しをもって、学級懇談会や学級便りなどを利用して、具体的に知らせていく必要があります。
 また、連絡帳への返事の書き方、電話での対応、病気やけがをしたときの連絡やきめ細かな配慮を通して、教師の誠意や人間性が自然に伝わっていくものです。
 さらに、どんなに忙しいときでも余裕ある表情で接することを忘れなければ、この先生ならどんな小さな相談にも乗ってくれるのではないかと思われ、保護者は心を開いてくれることでしょう。
(
岸 ゆう子:元千葉県公立小学校管理職)

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