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先生の意識を変えると生徒が変わり伸びる、先生や学校を変えるには、どうすればよいか

 学校を変えるためには先生の意識を根本から変えなければいけない。私はシンプルなことから始めました。それは挨拶です。
 先生は教室に入ったとき生徒に挨拶します。学校は思い出や感動を生み出す場所です。それには先生の根底に「元気」が必要てす。元気の素になる最初の行動が「挨拶」です。
 私はいろいろな学校に行くことがあります。その学校の雰囲気は挨拶に一番表れます。先生が挨拶できないと生徒に伝播します。
 挨拶は、それだけでお互いにいい気分になります。人間はいつもちゃんと挨拶してくれる人のほうが好きになってしまうところがあります。
 挨拶は習慣です。単純に勇気も必要です。人としての徳においても大切です。人間関係を築くための最初の一歩が挨拶です。
 私は「先生は経験ではなく、志で決まる」と考えています。「志が高く、先生としてのあり方」が身についた先生は視点をはずしません。年齢にかかわらず、「志が高い先生」がいい教師です。
 志の高い先生は、その生徒のためにしてあげられることを常に考えています。志の高さは意識が高さといってもいいでしょう。「こうしたほうが、もっとよくなるだろう」「ここを変えていったらいいだろう」とすぐ気づきます。そして行動します。
 生徒を注意するときも、生徒がよくなるための注意と、先生の怒りを発散させるだけの注意ではまったく違います。志の低い先生は、その場その場で自分の怒りを発散させるだけの注意になりがちです。
 志の高い先生は生徒のことを考えた結果であり、その子のために必要だから注意をします。そうやって「志の高さをずっと持って、真正面からじっくりと生徒に向き合う」のがいい先生なのです。
 先生の志の高さは、三学期が終わったクラスの状態を見ればわかります。クラスの生徒は担任を映している鏡です。終業式のクラスの状態がその担任の状態を表しているのです。
 そのときに人格が豊かな、志の高い、心の温かい子どもたちに満ちあふれていたら、それは担任がそういう人だからです。
 反対に表面だけを追うような、表層的な部分だけで行動したり、ものごとを考える担任がいたとします。そのクラスは三学期の終業式のときには、そのような表層的な部分でしか生きられない子どもばかりのクラスになってしまいます。
 それは長年の教員生活で見ていて、すぐにわかります。よく「何年かたたないと教育は結果が出ない」と言います。そんなことはありません。たまたま悪いクラスにあたった、ということも先生から聞きます。 クラスがよくなるのも悪くなるのも担任しだいです。
 その結果、担任の志の高さが終業式の生徒に表れるのです。そして、学校の志の高さは卒業式を見ればわかります。卒業式は生徒も先生も涙して、なかなか帰りたがらないとき、それを見て私は、すべての担任のクラスがうまくいっている、と思います。
 私たち先生の仕事は3Kに近いものです。きつくて、汚くて、危険です。教材研究、ふだんの業務、部活動を完璧にこなそうとすると、ほとんど休みはありません。教室がいつもきれいな状態であるためには、泥まみれになって掃除もします。
 しかし、こんなに崇高な仕事はないと思っています。仕事してきて「よかった」「うれしかった」と卒業式に生徒と一緒に泣けるような仕事は他にありません。自分の幸せにも直結します。そんな素敵な卒業式を迎えられるように、先生は生徒と日々向き合っています。
 私は生徒を大事にするとともに、先生を大事にしました。先生を大事にしたら、先生が生徒を大事にしてくれます。
 職員室で、校長が先生の良いところをみつけて「ほめ」スターのようにスポットライトを当てて光輝かせてあげる。先生たちが職員室で輝けば輝くほど、先生は教室で子どもたちをスターにするのです。
 人は認められるとうれしくなります。自分を知ってもらえると安心します。校長である私は、先生のことを全部わかってあげなければいけません。
 新しい学校に赴任したとき、先生と面談して「どんな学校にしたいか」とじっくりと話しを聞いた。「生徒と真剣に向き合い、生徒一人ひとりを伸ばしていくことのできる学校」と先生の答えは皆同じだった。
 そして、学校の進むべき道を明確に決め、「子どもが安心して通えて、私たち先生を信用して、信頼して頼れる学校」とした。
 いばっても人は絶対に動きません。いくらかっこいいことを言っても、実際に態度で大事にしているという気持ちが伝わらなければ動きません。全部わかってあげて、真剣に向き合っていきます。私の志が先生に投影されて、先生が変わっていきます。その先生がそれぞれのクラスを変えていくのです。
 私は先生を大事にしましたが、そのなかでも特に着目したのは学校が好きな先生です。情熱があり、学校が好きな先生というのは、生徒が好きで、そして自分を伸ばしたいという表れでもあります。学校が好きな先生たちを中心に変えていったほうが、すべてうまくいきます。
 では、どうやって学校を変えていったのか。まず、学校が好きな先生に「授業をするから見に来てください」と言いました。授業はこうやるんだということを全部話しました。授業のやり方を覚えてもらい、もう一度、本来の自分を取り戻してほしかったのです。
 その後、学校が好きな先生から一気に広がり、授業を見にくる先生は、ものすごい勢いで増えました。しだいに、先生たちも恥ずかしさを捨てて、もうがむしゃらに学ぶんだ、というふうになっていきました。
 情熱的でない先生も、わかりやすい教え方を知ったとき、目を輝かせていました。やはり、先生になる人はみんな心に熱いものを持っていました。
 先生という職人は、腕のたつ職人の言うことはよく聞くものです。そのためには、校長が圧倒的にうまい授業や生徒指導をして見せる必要があります。そうすれば、職人である先生は、頭領である私についてきます。
 学校を変える主役は先生です。
 先生をまず変えます。生徒を変えるよりもまずは先生を変えます。重要なことは先生にワクワクしてもらうこと。先生が自己改善をし続けること。先生が変われば授業が変わる。授業が変われば間違いなく生徒が変わります。
 先生が一致団結しないと学校は変わらない。学校としてみんなが同じ方向に向かって努力すると、先生が伸び、生徒が伸び、学校が伸び良い結果が生まれます。
 学校の進む方向や道は、幅広く設け、ここで先生に好きなようにやってもらう。
 先生はそれぞれでやり方が違う。進む道が狭いと個々の先生の個性を殺してしまうので許容範囲を広くとる。目指すところが同じなので、共通の目的・哲学を根本的な部分で共有するようにします。
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長野雅弘:1956年名古屋市生まれ、一宮女子高等学校、平安女学院中学校・高等学校等で校長を務めた後、 聖徳大学教授。学校改革において手腕を発揮。入学者が激減してつぶれるとまで噂された女子高校を授業のみの改革で2年目に人気校にしてV字回復させた。生徒のことを第一に考え「絶対に落ちこぼれをつくらない」「学校は感動製造工場」をモットーとし、真摯に生徒と教育に向き合い生徒とその保護者から信頼を寄せられている)


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