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百ます計算などの陰山式学習法は、どのようなものだったのか

 陰山英男が兵庫県朝来町立(現在は合併により朝来市立)山口小学校在職当時、同僚教師や保護者なども巻き込んで基礎学力向上のためのメソッドの開発を進め、岸本裕史先生が提唱した百ます計算やインターネットの活用、科学実験、そして日常の生活を見直すチェックシートの活用など、さまざまな工夫を重ねて、成果を上げる。
 陰山学級の国語と算数の偏差値が全国平均を大きく上回った。山口小学校を卒業した陰山学級で学んだ50人ほどの子どもたちが、1999年高校を卒業し、その2割が国公立大学に合格した。NHKのクローズアップ現代に取り上げられた。
 百ます計算は足し算、引き算、かけ算、割り算の四種類があり、低学年用には、25ます計算や64ます計算もある。
 任意に記された縦・横10個の数字を、ます目にそって左から右へ、全部で100個の計算を解く。そして同じ数字が配列された問題を二週間、学校と家庭で行い、計算速度を記録する。
 目標タイムの基本は二週間で初日の半分に縮めること。もしくは、2分(割り算の場合は5分)にすること。できた子どもの所要時間を告げる。
 
「まだまだ君たちのタイムは伸びる」と子どもたちに言う。早くできた子どもは、プリントを裏返し、同じ数字を10回足したり、引いたりする「エレベータ計算」を始める。
 数字は百ます計算を始める前に黒板に書いておく。百ます計算で得られることは、計算力アップで子どもに自信をつけさせること。集中力をやしなうこと。
 特に勉強ができない、行動に問題のある子どもたちは元となる計算力が弱いぶん、成長するときは格段の伸び方を示す。百ます計算は、陰山は岸本裕史先生より学んだ。学年ごとに段階的に百ます計算を進展させる。
 新しいクラスを担任すると、陰山は子どもたちに
「これから、この百ます計算のプリント(同じ数字の並びを毎日やることが大事)を、時間を測ってやってもらいます。先生は予言します。2週間後にあなたたちのタイムは半分になっています」
と言うと、子どもたちは半信半疑で取り組みますが、陰山は経験的にそうなることを知っています。
 百ます計算の時間が短くなっていくと子どもたちをほめます。ほめると子どもたちはやる気になってまた伸びます。子どもたちは自信ができると、意欲的になり、飛躍的に成長します。百ます計算によって鍛えられた集中力によって思考力も伸び、文章題も解けるようになります。
 百ます計算を実践しても効果がでないのは、百ます計算の本質を知らないまま使っているからだと陰山は言います。
 学力をつけるには、まず子どもたちの生活習慣を健全(早寝・早起き・朝ごはんを食べる)にして、そのうえで基礎基本の学習と読み書き計算のトレーニングを行い、さらに多様な学習をするようにする。そのことをしっかり理解してほしいと述べています。
 百ます計算さえさせればよいと、早寝・早起き・朝ごはんの正しい生活習慣なしに、寝不足のまま、朝ごはんも食べないで百ます計算をさせたらキレる子どもがでてきても不思議ではありません。
 百ます計算を行うことで子どもが伸び始めると、それを見て保護者も変化し、学校の言うことを信じて子どもの生活習慣を正してみようと協力的になると陰山は言います。
(
陰山英男1958年生まれ、元兵庫県公立小学校教師、広島県公立小学校長を経て、立命館小学校副校長、立命館大学教育開発推進機構教授。元大阪府教育委員委員長)

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