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教え上手な教師はモデルとなる子どもを想定して授業をする 

 クラスを、できのいい人、中ぐらいの人、思わしくない人の三つのグループに分け、それぞれのグループで一人ずつ典型的な人を想定します。すぐれた教師はこういうモデル抽出を活用しています。
 上中下に分布したうちの、上ランクの子しか授業内容が理解できていないようであれば、もう少し掘り下げて、中ランクの子まで届くようにし、下のランクの子どもへの手当ては授業の後半に集中させようといった策をとるのです。
 今日の授業のねらいを達成するためには、Aくんのやる気を刺激してみようとか、B子ちゃんにわからせたらこの授業は成功だなどと、特定の一人を選んで、その子の意欲を引き出し、理解を深めるよう授業を行うのです。
 教材を発掘するときにも、ある特定の子どもを思い浮かべて「あの子を熱中させるのに、このネタは適切だろうか」などと考える。
 また、授業中にモデルの子に質問を集めて
「そんなことまで知っているのか、キミはすごいなあ」
「でも、あとでもう一回質問するぞ。もうちょっとむずかしいことを聞くからな」
などと、その子を中心にして進めていく。そうすることで、理解をほかの子どもに広げていくのです。
 こうしたやり方は、授業を一人の子どもだけに偏らせはしないかと思う人がいるかもしれません。しかし、代表的な「個人」を通じて全体は見えてくるものです。
 モデルの子どもを基準にすることで、ほかの子どもの理解度などもよくわかってくる。だから、グループ全体への理解を図りたいときこそ、全体を代表する個人への浸透を心がけなくてはなりません。
 むろんモデルにすべき一人は、いつも特定されているわけではない。ケースバイケースでそのつど選択します。
 私の経験からいうと、最大公約数的な平均的な子どもをモデルに選んだときは、授業が無難なものになり、おもしろみに欠けることが多い。全体の理解度も中程度で終わってしまいがちです。
 もっとも大きな成果が望めるのは、やはり意欲が薄い、ノリが悪いといった子どもをターゲットにして
「この子の心をつかむにはどうしたらいいだろう」
と、工夫する場合のようです。
 それは失敗するリスクも大きいのですが、うまくいったときの全体への波及効果は最大となり、教師の技量向上にも通じていくからです。
(
有田和正:19352014年、福岡教育大学附属小倉小学校、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授、東北福祉大学教授、同特任教授を歴任した。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、数百の教材を開発、授業の名人といわれた)

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