保護者に子どものよいことを伝える「電話感謝デー」で、教師と保護者の信頼関係をつくる
子どものよいことを電話で保護者に伝える「電話感謝日」をはじめた。
2週間に一回、木曜日に私は名簿を見ながら保護者に電話をかけている。つけた名前は「電話感謝デー」です。
「もしもし、溝部です。今日はいい電話ですよ」と言って話し始める。
「ええっ、そんなことがあったんですか」と、お母さんの喜ぶ声がうれしい。
1軒目、2軒目、3軒目と進む。だいたい5軒目あたりが本命だ。はじめはウォーミングアップをかねて軽やかにかけるものの、5軒目あたりが近づくとちょっぴり手に汗がにじむ。
あれは、たしか11月頃のことだった。電話感謝デーも4周目くらいになった時、いつものように、子どもの「よい出来事」をお話しし、電話を切ろうとした。
すると、お母さんから「本当にそれだけですか?」と、聞き返された。
「そうですよ。今日は電話感謝デーといって、よいことを連絡する日なんですよ」と言うと、
「そんなことはないでしょ。それだけで学校の先生が連絡してきますか」と、きつい調子で問い詰められた。
ああ、本当はこれが言いたかったんだ。それを半年もがまんしていたのか。
それでも、お母さんが本心を話してくれたことがうれしかった。
「お母さん、本当によいことをしたから電話したんですよ。悪いこともお知らせします。でも、それと同じくらい、よいお知らせもしたいんですよ」と、私も本心を話した。
大人同士が信頼の糸をつなぐには時間がかかる。けれど、思いが通じるとうれしいもの。
6軒目、7軒目。これでおしまいだ。最後のほうには、いい夢が見られそうな保護者を入れる。これくらいのクールダウンは、許してくださいね。
これを続けていると、
「うちにも、電話感謝デーの日がきましたか。待っていました」と、そう言って、喜んでくれる保護者も出てきた。
電話で保護者が少しでも喜んでくれるのなら、やってみようじゃありませんか。
(溝部清彦:1958年大分県生まれ、小学校教師。全国生活指導研究協議会指名全国委員)
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