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担任が若いと保護者があまり信用してくれない、どうすればよいか

 教職につくと、初任者であっても初めからベテランの教師と同じことをしなければならない。だれでも最初からうまくできる人はいないものである。
 子どもの指導に関することだけでなく、社会人としての生き方、接し方についての配慮も必要なので悩むのは当然のことである。
 若さやベテランにかかわりなく信頼されるための基本となるものは、専門職としての見識と実践力である。
 指導方針や学級をどう作るのか、具体的な抱負を明らかにして、学級懇談会や学級通信などで保護者へ周知するとよい。
 最も大切なのは、一人ひとりの子どもをよく知っていることである。
 保護者は若い教師の新鮮な活力に期待しているはずである。
 子どもは常に一緒に行動する人に親近感とともに信頼感を感じるものである。
 授業も大切だが、子どもといつも一緒に遊んだり掃除などの学級活動を共にしたりすると、子どもを十分観察できることから一人ひとりの長所が把握できる。子どもから、親近感とともに信頼される度合いが増していく。
 そうなると、子どものほうから話しかけてくるので、聞き役に徹すると、きょうだいけんかや父や母のことなどを教えてくれる。
 そして、先生との会話は家でも報告され、子どもと一緒に汗を流す先生のことを、安心感と尊敬の念をもって温かい目で見てくれるようになる。
 子どもの家での生活の様子をつかみ、それを生んだ環境や状況を知っておくことも大切である。その子の気持ちをつかみ、励まし、支えていくようにするとよい。
 教科指導と生活指導の両面のデータを十分に蓄えておくと、保護者との直接の話し合いでも、具体的に子どもの実情を伝えることができる。保護者は担任の指導ぶりがよく分かって満足する。
 子どもに対し、接し方や気配りが次のようにできていると、保護者は安心する。
(1)
一人ひとりの子どもに対して公平に指名してくれる。
(2)
子どもへの対応に温かさが感じられる。
(3)
子どものレベルに合わせた楽しい雰囲気が感じられる。
(4)
子どもの作品をよく観て、温かいコメントがある。
(5)
黒板の板書が丁寧である。
(6)
教室がきれいで落ち着きがある。
(7)
子どもの机や学用品を見てくれている。
 保護者に対して、謙虚さだけでは、若いからかえって心配されるし、子どもの具体的な対応が見えてこない抽象的な教育論で終始する自己本位な態度もあまり信用されない。
 保護者会などが近づくと気が重いという若い教師は多い。「大変だ」「いやだ」と受けとめないで、専門的な見識を披露する絶好の機会だとプラス思考で迎えたい。
 保護者会で保護者が期待するのは、
(1)
担任はどんな考えを持っているか
(2)
わが子にどのような考えで接しているか
(3)
わが子の学級の生活や学力などの傾向や特徴
(4)
年齢に応じた、わが子の発達の状況を知りたい
などである。
 保護者が知りたがっていることを前もって押さえておけば、内容が多くなり話題が豊富になる。保護者は熱心に聞いてくれる。
 準備を整えて、次のような態度で保護者と接したい。
(1)
構え過ぎない
 構えてしまって、柔軟性に欠けた対応になると、保護者はその様子に不安感をもつ。
(2)
笑顔で
 ユーモアがでれば安心。難しければ笑顔で公平に。
(3)
明るく丁寧な話し方で接する
 明るい表情で、自分の考えを実践をもとに分かりやすく、熱心に語りかける。一人ひとりの保護者に丁寧に接する。
(4)
包容力のある対応をしよう
 批判的な保護者には温かく接する。
(5)
清潔な髪型と服装
 だらしない、不潔、場違いと思われるようなスタイルを避けよう。
 一人ひとりの子どもの毎日の変化をとらえ、励まし、支えていくように日々努力する。不安ではあるが、解決をめざして自分の総力をもって実践していく。教育とはそういうものではないかと思う。
(
関口 寛:1931年生まれ、宮城県教育研修センター指導主事を経て元仙台市立小学校長)

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