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失敗しやすい教師の性格とは、どうすれば教師であることを楽しむ教師になれるか

 教師の性格が子どもに何かしら影響する。明るく、屈託のない教師の学級では、おおむね子どもは明るく、屈託なく育つ。しかし、逆に軽率になり子どもの心を傷つけるかもしれない。
 教師は自分の性格を自覚しているだろうか。正義感の強い教師は、憎しみの情の強い教師であると考えられる。子どものちょっとしたいたずらを憎んでしまう。憎むことが自分の正義感の表れのように感じていることもある。
 教師はあまり意識していないが「子どもはこのようにあるべきだ」という「・・・・すべきだ」があるのではないか。それが教師の子どもを見る基準になっている。
 そういう教師は、例えば「誰とでも仲よくすべきだ」ということが、できていない子どもがいれば、その子を責め、とがめる。その教師としては「人としての常識」を教えてやっていると思っている。
 しかし、責められ、なじられている子どもにすれば、教師に愛されているとは受けとれない。むしろ教師に憎まれていると感じる。
 子どもは内心「わかっているよ、そんなこと。やれないときってあるじゃねェか」と思っているかもしれない。
 しかし、教師は気づかず「何ですか、その顔は」「先生の話は素直に聞くものです」などと言ってしまう。
 教師は、よほど用心しないと、自分で考えた「・・・・・すべき」「・・・・・であるべき」に縛られて、子どもの気持ちを受けとれず、柔軟に対応できなくなってしまうことがある。
 それは結局、教師自身、子どもに「言うことをきかせたい」気持ちと、「子どもをぎゅうじりたい」気持ちにゆきつくのではないか。
 小学校高学年から中学生には、自分のことは自分でやりたい、自分たちの「とりきめ」は自分たちできめたいという自立の欲求が強くなる。だから、子どもたちの不満が強くなる。
 子どもたちはおもしろくない。そして、結局は教師の指導の失敗ということになる。問題は「かくあるべし」と押しつけてくる柔軟性のないことが失敗を招くものというそうである。
 自己嫌悪の強い人ほど他者嫌悪も強いといわれる。
 教師に限らず人に大切なのは「自分を受け入れること」自己受容していることである。つまり、自分に対する態度と人に対する態度は相関関係がある。
 教師が自分の性格やものの考え方や感じ方を自覚することは、ものごとを広く見たり考えたりできることにつがる。それが自分を肯定的に受け入れる自己受容になることを思えば、自分を調べることは大切である。
 子どもが好きになれない教師は子ども心(ふざけたり、甘えたり、笑ったり、遊んだりしたい)を嫌悪しているからではないかと考えられる。自分が「よい子」であろうとし過ぎるのではないか。
 状況に応じて自由に「子ども心」を出し入れする現実感覚(大人感覚)が必要ということである。教師は自分の中に「子ども心」を受け入れなければならない。
 そうすれば、子どもに好意をもてるようになり、子どもを受け入れられるようになるだろう。そのうえに、教師は教師であることをエンジョイし、楽しみたいたいものである。
 教師であることを楽しむ教師になるには、やはり修業がいる。修業や努力なしで教師を楽しもうとするのは、虫がよすぎる。
 教師は「気さく」でなければならない。子どもが気らくに「先生!」と寄ってきやすい人柄である。
 さらに、教師は「先生!」という子どもの声の響きによって、その子の気持ちとか、何か訴えたいのだな、とピンとくる「打てば響く」感性の豊かな教師でありたい。
 子どもになめられないか、といった不安がある教師は、堅く身構えたり、笑顔を見せず、心に硬い構えがある。
 そういう人の特徴は、話し言葉がカタイ。緊張している。冗談が通じない。まじめでおもしろみがない。
 気さくな教師は、笑顔で、けじめはあるがあまり形にとらわれない教師、ふだんの言葉で語れる教師、同僚教師や子どもの意見に素直になれる教師。リラックスしていて相手もリラックスさせてくれる教師である。
 気さくになるには、ありのままの自分をだしていく、教師という役割から抜け出してよい状況のときは、大いに抜け出す勇気をもつことである。
 教師は、生活空間を広げ、もっとふれ合う範囲を広げた方がいい。それが教師という役割に縛られない自分をつくっていくことになり、教師の構えをとり、ものごとに柔軟に対処できることにながる。
 子どもにとって「打てば響く」教師とは、子どもと同じような体験をもった教師であるといえる。とんとん拍子に人生をわたってきた教師には、子どもの心情がピンとこない場合が多い。
 そのために、関接体験をたくさん積むようにする。
 例えば、さまざまな人生を経てきた人たちと積極的に付き合う。今の自分と違った状況、集団に身をおく。さまざまな問題を起こした子どもとじっくりと付き合ってその心情を学んでいく。庶民の哀歓が感じられる小説や、さまざまな異なる世界の本を読むことをすすめたい。
 教師は人生に肯定的であってほしい。人生に憎悪がある人は、人生を楽しめない。自分だけでなく周囲の人々を暗くしがちで、何かにつけて失敗しがちである。
 自分の生い立ちを調べていくと、自分がそのようにしか感じられなかったのはどうしてか、子どものころの自分の気持ちを考え直すことにもなる。  
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関根正明:1931年生まれ、小・中学校教師、指導主事、東京都公立中学校校長、大学助教授を経て、元山形大学講師。親や教師への相談、講演などにあたっている。子どもの心、教師、親の心をとらえたアドバイスには定評がある)

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