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「成績が悪いのは担任の教え方が悪いからだ」と保護者が何回も学校へ押しかけ、担任は精神的に疲弊し休みがちになった、どうすればよかったのでしょうか

 「成績が悪いのは担任の教え方が悪いからだ」と保護者が電話を入れ、学校に押しかけてきた。担任がどんな指導をしているのか資料を提出するよう要求した。
 担任は若い教師だが、指導力もあり、子どもからも信頼されていた。担任は資料を見せ、指導内容を説明したが、保護者は改善点を指摘した。
 何回も繰り返すなかで、保護者は病気の夫が働けず経済的に苦しいと話したことがあった。しかし、担任は軽くうなずく程度しか関心を示さず、作成した資料を勢いよく差し出し、指導に間違いがないことを主張した。
 保護者は、その後も頻繁に学校に押しかけては「私の言うことなんか、理解してくれない」とぐちをこぼしながら、指導の改善個所を指摘した。担任の業務はその都度停滞した。
 担任は精神的に疲弊していき、学校を休みがちになってしまった。どうすればよかったのでしょうか。
 保護者のクレームの要因は「家庭環境の問題が、学校に対するクレームへと変化した」ことにあると考えられる。
 保護者の家庭でのストレスや問題が、学校に対する理不尽なクレームへと変化したケースである。
 クレームの状況を悪化させた要因は、
(1)
担任が保護者の置かれた家庭環境を理解する態度を示さなかったこと
 担任は教職員という安定的な職業につき、子どもたちからの信頼もある。
 一方、保護者はわが子の成績が悪く、家庭で問題を抱かえ、かなり追いつめられ、担任を羨んでいた可能性がある。
 そのような状況を、担任が察知できなかったことがクレームを悪化させた。
(2)
担任が自己の正当性を主張し続けたこと
 保護者は理解してもらいたい欲求を抱いているが、担任は指導の正当性を主張し、保護者を徹底的に否定してしまった。
 クレームの解決のポイントは
「保護者の心情を理解しながら、人間関係を築く」「管理職に相談する」こと。
保護者のクレームの根底にあるのは、
「生活や子どもの将来への不安」
「自分を承認して欲しい」という欲求
だと、考えられる。
 保護者の話に対して、共感的な言葉をおりまぜながら話を聞くようにする。保護者に積極的に意見を求めてみることも一案である。
 保護者と距離を置くのではなく、子どものために共同的な関係を築く努力をして欲しい。   
 また、管理職への相談も行い、一人で抱かえ込まないことが大切である。
 保護者のクレームに対して、今後の対策は
「一人の人間として保護者と向き合う」ようにする。
 教師は「学校=教育の場」という枠の中で問題解決の方法を考えることが多い。
 これは職業上当然のことであるものの、クレーム対応では、この枠を外し、一人の人間として保護者と向き合って解決を図る必要がある。枠を外すということは、視野を広げて問題解決を考えるということである。
(
宮下賢路:学校リスクマネジメント推進機構代表)

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