子どもたちに個別指導を短時間し、一人ひとりの子どもたちと関わるとよい
授業で子どもたちに個別指導をして一人ひとりの子どもと関わるようにしています。
個別指導しないと、授業から置いてけぼりになってしまう子どもがいます。私はほとんどの場合、授業の中で個別対応します。
机の間を約1分で一周します。その間に「ここはこうやってごらん」「この計算はこうだよ」と、個別指導していきます。
一人に10分もかけていたら「しつこいな」と思われるだけです。サッと見てサッと対応するのです。
子どもたちには、3つのタイプがあります。
(1)まったくわからない子ども
(2)やり方、問題の意味がわからない子ども
(3)難しいけど自分でやりたい子ども
です。ですから、
「ヒントほしい人おいで」
「教えてほしい人おいで」
と声をかけます。
ヒントでわかる子どもは、教えている途中で席に戻っていいことにしています。まったくわからない子どもは個別に教えます。
できる子どもには「ちょっと、あの子に教えてあげて」と言います。教えることで、自分の勉強にもなるのです。ただ、最初は「なぜ教えなきゃいけないの」と言う子もいますので、クラスが育ってきてからにします。
自然な教え合いが見られるようになると感動的です。教え合うことを体験していくと「できる子ども」も「できない子ども」も、互いに関わって、夢中で授業に取り組むようになります。
勉強ができない子には1分間の補習をするとよい。
勉強ができない子は「長時間の勉強は無理」というのは共通しています。勉強自体がいやなのだから。
「1分だけでいいよ」と言って、休み時間に1分だけフラッシュカードなどをやります。
みんな、1分の勉強なら嫌がらないのです。人間、それほど違いはありません。違うのは練習量です。
「本当に1分? もう終わり?」と子どもは喜びますが、次の休み時間にも呼びます。
「はい、2回目の1分。さっきできなかったところは」と具体的にできないところを伝えます。
だんだんと、指導を入れていきます。
「きみはいつもここで間違えるね。ここができない原因なんだね」
「次の1分まで、このできなかったところを一つでいいから覚えておいで」
こうして、上達する方法を教えます。「短時間×多回数」で、いつも間違えるところを覚えていけばいいのです。そうでないと、その子はそのレベルのままです。
短すぎるくらいの時間でいいので、何度も繰り返していると、
子どもは「先生、ここまでやったら、自然に覚えますよ」と言うようになります。勉強する感覚が磨かれた証拠です。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都の小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)
| 固定リンク
« 教育に最も不足し必要とされているのが「笑いやユーモア」である、子どもと一緒に笑える教師は、子どもと一緒に歩める教師である | トップページ | 教師になって三年目までが勝負、すばらしい出会いが教師を変える »
「教師と子どもの関係づくり」カテゴリの記事
- なめられる教師となめられない教師はどこが違うか、教師が心がけたいこととは 桶谷 守(2021.06.10)
- 教師の遊び心が子どもとの距離を縮める 斎藤 修・篠崎純子(2021.06.02)
- 子どもたちと人間関係が築けない教師の要因とその改善方法 山口菜穂子(2021.05.26)
- 教師が子どもから信頼されるには、どのように接すればよいか 関根正明(2021.05.19)
- 生徒と信頼関係をつくるうえで大事なことはなにか 杉田雄二(2021.04.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント