子どもたちは嫌いな教師の言うことは聞かない、信頼され人気のある教師になるにはどうすればよいか
教師になる前は「先生、先生!」と笑顔の子どもたちに囲まれ、先生の話を真剣に聞き、先生の期待に応えようとがんばる子どもたち。毎日が感動のドラマ。
そんな生活を夢見たはずなのに、教師になって、気がつけば、怖い顔をして、子どもたちを怒鳴り散らしている。
日々、子どもたちの対応で疲れ切り、子どもや保護者からの支持を得られず、ぐちをこぼす毎日。「こんなはずじゃなかった」と思ったのは、10年前の私です。
子どもたちは嫌いな教師の言うことを素直に聞くでしょうか。
「一生懸命勉強しなさい」「友だち同士、仲よくしなさい」
と、嫌いな教師から言われて「よし、勉強するぞ」「仲よくするぞ」と思えるでしょうか。
私はできないと思います。子どもたちは反発するのではないでしょうか。
一方、信頼する教師であれば、子どもたちは「大好きな先生の言うことだから聞こう」と思い、進んで正しいことをします。素直に明るく、ぐんぐん力を伸ばしていきます。そして、教師も楽しく仕事ができます。
クラスの子どもたちから信頼を得た「人気のある教師」になるためにはどうすればよいのでしょうか。
かつて、子どもからの支持を得られず苦労した経験から学んだ、人気の教師になるための私のアドバイスは
(1)とことん子どもを好きになろう
子どものよいところを記録することで、子どもたちのよいところに目が向くようになります。心の中で「好きだよ」と言うと、表情や言葉などに表れ好意が子どもたちに伝わります。
(2)子どもたちと笑顔で接し、子どもたちを安心させる
笑顔になるためには、教師が機嫌よくしていることが大切です。疲れを残さず、趣味や家族、友人との時間を充実させるようにします。子どもとの日常のやりとりに、ユーモアを入れます。
(3)たくさんほめよう
子どもはほめてくれる先生のことが好きになります。子どものご機嫌をとるのではなく、本当によいと思ったときだけ、ほめます。
しかし、叱るべき時には叱らなければなりません。教室全体に安心感を与えることができます。叱ったあとは、名誉ばんかいのチャンスを与えて、できたときにはほめて終わりにすることが大切です。
(4)授業の達人をめざそう
つまらない授業が続けば、子どもたちの不満がたまります。楽しくて自分が伸びたと実感できる授業であれば、教師のことも大好きになります。
教師の発問や指示に対する子どもの反応に対して、どのような「受け」を教師がするのか、そこがよい授業をするうえでの大事なポイントです。
(5)あこがれを持って学ぼう
あこがれの先生を持っている教師は、近づけるように自然と努力をします。日々成長している子どもたちからの目も、このような先生の姿は、いっしょに進んでいる先輩のように見えることでしょう。
私には、たくさんのあこがれの先生がいます。赤坂真二先生との出会いが、私を成長させ、仕事が楽しくなり、人生を大きく変えてくれました。
(6)最初が肝心、秩序あるクラスをつくろう
秩序を保つことは、教師として子どもや保護者、同僚からの信頼を得るために必要不可欠なものです。
秩序を保つためには、ポイントをしぼって、やらせ切ること。できればどんどんほめるようにします。一日に何度も指導ができるようになれば、他の行動にもよい影響を与えることができます。
厳しい指導で息が詰まらないよう、ユーモアを持って明るく楽しく指導することも時には必要です。
(7)つながろう、つなげよう
教師と子どもだけのつながりだけでは、子どもたちは満足しません。子ども同士のつながりをつくらなければなりません。
教師が得意なことを子どもたちの前で披露したりして、キャラを立ると、子どもたちは親しみを持つことができます。子どもたちは家の人にも話しますし、友だち同士の話題にもなり、人間関係を深めることもできます。
「いつも子ども同士をつなげる」という視点をもって、授業、行事、掃除、給食などで、二人以上で協力する場面を多く設定して指導します。
(8)仕事を超えてあたたかくしよう
教育において厳しさは必要です。しかし、それは温かさがあってこそです。愛情で子どもたちをつつんであげましょう。愛情で満たされた子どもは、きっとまわりにも愛情を与えようとするものです。
(9)子どもに力をつけよう
子どもをできるようにする指導技術をどれだけ持っているかということは、かなり重要な問題です。教師が学び続け、子どもを伸ばす技術を身につける必要があります。
(10)同僚や保護者とうまくつき合おう
同僚や保護者との良好な関係なくして、人気のある先生はありえません。
自分の仕事を一生懸命にやるのは当たり前です。自分以外のことをどれだけ一生懸命やるかで、まわりの評価が違ってきます。
保護者との個人面談では、子育てをがんばっている母親をほめ、感謝の気持ちを伝えましょう。そして、子どものことをたくさんほめましょう。まず保護者と担任が仲よくなることが大事です。子どもの改善点などは、後でもよいのです。
学級通信を出して、教師の考えを伝え、子どもたちのよいところを伝えます。
子どもが何かよいことをしたとき、便箋にそれを書き連絡帳に貼りつけます。一日三人などと決めて全員に書けるようにします。
小まめに電話や家庭訪問で連絡を取りあうことが大切です。
(飯村友和:1977年千葉県生まれ、千葉県公立小学校教師。教育サークル「明日の学級づくりを語る会」代表)
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