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発達障がいのある子の特徴と、その対応のポイントはなにか

 ひと口に発達障がいといっても、発達障がいとそうでない子との境目はありません。
 発達に遅れがあったり、かたよりがあったりして「うちの子、発達障がいかも」と悩む親が増えています。
 気になると、親としてわが子を何とか治してあげたい、周囲に適応するように修正してあげたいと思いがちです。 
 私は仕事上、たくさんの発達障がいの子どもや大人たちに会ってきました。
 私がいま考える、一番じょうずな育て方とは「発達障がいのまま生きていけばいい」と思って育てることです。
 そういう感覚を、親をはじめ、周囲がもったときに子どもは、いきいき、のびのびと力を発揮するようになるのです。
 そして、発達障がいのまま適応できる環境を、こちらが努力してつくってあげることです。その子がありのままで、学びやすく、働きやすい環境をじょうずにつくることが、もっとも重要なのです。
 発達障がいの子どもは、苦手なことを治そうとすればするほど、不幸な状態に陥ります。なぜかというと、発達障がいは治らないからです。
 治らないものを治そうとすると、子どもたちを苦しめることになる。そのことに早く気づかねばなりません。
 私がアメリカの大学で研究していたとき、自閉症は治療しても治るものではない。自閉症の人は能力が劣っているわけではなく、得意なことと苦手なことが一般の人に比べてはっきりしていること知り、衝撃を受けました。
 苦手なことを無理にでも克服させるような環境は、何のプラスにもならないのです。能力を発揮できないどころか、うまく適応できないストレスから二次的な情緒障がいを現すことが少なくないのです。
 発達障がいの子どもたちは、何か努力して克服し喜ぶといった回路がとても弱いのです。彼らが何か努力し、苦労して乗り越えたように見えたときは、喜びでなく、傷のほうが深く残ってしまうことが多いのです。
 たとえ善意と愛情によるものでも、彼らをがんばらせることが、本人を傷つけ、苦しめていることが多いということを理解してほしいのです。
 発達障がいのまま安心して適応できるようにしてあげれば、彼らは高い能力を発揮できるのです。
 発達障がいの人たちの特徴のひとつに、興味や関心の対象が狭くて深いというのがあります。そのため、一芸に秀でた能力を発揮する人が多く、専門家になっているケースも少なくありません。
 高い能力を発揮する理由のひとつは、興味・関心のあることに対しては、とことんのめり込んでいくことです。
 発達障がいの人は、相手の立場や気持ちがわからず、空気を読めないことが多い。そこで、さまざまな人間関係のトラブルが起きるのですが、本人は悪意はないのです。この子たちに「相手の気持ちをわかるように努力しろ」と言うのは残酷なことです。
 発達障がいの子どもには、できないことをできるようにがんばらせるのではなく、できることを最大限に伸ばしてあげる育て方が必要です。
 発達障がいの子は、落ち着きがなくて、驚くほどひらめきがある。人の気持ちはわかりにくくても、計算が抜群に早い、すばぬけた記憶力があるといったケースも多いのです。できることを伸ばすことで、彼らのもつ個性的な能力が開花します。
(
佐々木正美:1935年群馬県生まれ、児童精神科医。様々な大学や機関を経て、川崎医療福祉大学特任教授、横浜市リハビリテーション事業団参与。子どもの発達について幼稚園等と勉強会を重ねている)

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