教師の話を聞く子に育てるには、どうすればよいのでしょうか
職員室で「最近は、話を聞かない子が多い」「何度言っても話を聞いてくれない」という話がよく出ます。
確かに「話を聞きなさい」と言うだけでは、耳を傾けてくれない子どもたちが増えている気がします。
しかし、それは子どもたちが悪いのではなく「話を聞かない子どもを育ててしまっている」私たち教師にも原因があるのではないでしょうか。
教師が「きちんと話を聞く方法を教えたり、話を聞く練習をしたり」しなければいけません。
そう言うと「でも、先生。話を聞くなんてことは、練習しなくても小さい時に身についているはずです」と反論したくなる先生方がいるかもしれません。
子どもたちは家で、じっくりと話を聞く場面は、思いのほか少ないのではないでしょうか。ゲームをしたり、テレビなどを見たりして、眠るまでずっと音の垂れ流し状態なのです。
子どもたちにとって、授業中の教師の話も、単に流れているテレビなどの音のようなものにすぎないのではないでしょうか。
だからこそ、子どもたちに、話の「聞き方」を学校で教えなくてはいけないと思っています。
話を聞く子どもに育てるにはどうすればよいのでしょうか。
「話は一回しかしない」
これは話を聞く子どもを育てるための大原則なのです。
私の「一回しか言わない」というのは、本当に一回しか言わないのです。
子どもたちを前にして「先生は話を一回しかしません」と宣言したら、同じことを二度と言いません。
子どもに質問されても「先生は、もう言いました」と、絶対に答えません。
だからといって、話を聞いていなかった子どもをそのまま放っておくわけにはいかないので、私は
「仕方がないなぁ。誰か教えられる人いますか?」
と言うと、誰かが答えます。
きちんと答えられた子どもには「えらいな。よく聞いていたね」とほめます。
「この先生は、一回しか話をしない」と、子どもたちに強く印象づけることが大切です。
子どもたちは緊張感をもって、教師の言葉に耳を傾け、話に集中しようとします。
若い教師は、このようなスキルを学ばないまま、学校現場に放り込まれるといって過言ではありません。
私も、若い頃は当然、学級経営がうまくできませんでした。学級経営の上手な先輩教師を見ると「どうやってやるのだろう」と疑問に思い、コツを教えてもらっていました。
まずは「話は一回」を徹底してみてください。誰でも、話を聞く子どもが育てられると思います。
(楠木 宏:1956年生まれ、三重県公立小学校教頭。教育研究三重県集会理科部会助言者)
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