はめをはずす子を大目にみて学級崩壊したが、叱る基準を決めるとともに、保護者たちの協力で立ち直った
私が住んでいた学区にあった小学校の事例です。
一学期の半ば頃のことでした。当時、近所の小学校二年生の子どもの母親が、今度の日曜日にある授業参観日に「こっそり、うちのクラスを見に来てくれ」と言うのです。あんな、めちゃくちゃなクラスで大丈夫だろうかという心配があったからです。
当日、授業を見に行っておどろきました。子どもたちのほとんどが、勝手なことをしているのです。
きゃっきゃ言いながら机の上を走り回っている男の子が何人か。それを見ておもしろがっている女の子たち。四、五人の子どもたちが輪になってじゃんけんをしているかと思うと、床をはいずり回っている子どもたちがいます。
動物園のサルのおりの中でも、これほど騒がしくはありません。若い女教師の「もう、やめてっ」というかん高い声が哀れでした。
一年生の時の担任はベテランの教師で、厳しく、しつけもよく行き届いていたようです。そのクラスを新任の教師が担任したのです。
子どもたちはみんな行儀がいいし、決まりを守るよい子ばかりだったので、少しぐらいははめをはずす子がいても、おおめにみてきました。
すると、子どもたちは、どんどんタブーを破っていきました。その結果、学級崩壊を招いたようです。
ここまできてしまうと、修復はなかなか困難です。
このようになる前に「ほめるべきことは、ほめ」「叱るべきことは、叱る」という姿勢が教師に必要だったと思います。
幸いなことに、そのクラスの親たちが大変よかったのです。担任をなじる親は少なく、理由はともあれ「ああいう態度をとる子どもたちも悪い」と、わが子をいさめました。
担任には、厳しさも愛情であることを知ってもらいました。
「どの親にも、目に余ることがあったら、すぐに知らせてほしい」と、担任に頼み、そのことを子どもたちにも伝えました。
若い担任は、素直に親の言い分を受け入れ、叱るべき時には、叱るよう心がけました。叱るべき時とは「自分や他人の心身に傷を負わせる心配のある時」と決めました。
それ以外は、これまでどおり大目にみたのですが、一学期の終わりには、まともな授業ができるようになっていました。
二学期には、担任と子どもたちは友だち同士のように仲良くなりました。それでいて、担任を信頼し、聞き分けのよい子どもたちばかりで、本当に理想的なクラスになりました。
(福井 明:元岐阜県公立小学校教師)
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