朝の学級指導、帰りの指導をどのようにすれば、子どもたちは頑張ろうという気になり、自信を持ち、楽しく一体感が得られるか
特に月曜日の朝の子どもたちの様子がおかしくなっています。眠そうな顔つきで、だらだらとした態度で教室に入ってくる子どもが増えているのです。
そのような状態のままで授業を始めても、楽しい授業は成立しないでしょう。子どもたちの頭と身体が学ぶ状態になっていないからです。
そこで、子どもたちが自分から学ぶ体と頭になるような「しかけ」を用意します。
朝の時間(10分~20分)を、友だちとの関係を絆の強い温かなものにし、コミュニケーション力を育てる場として気持ちのよいスタートをさせます。
学び合う仲間とその絆を強くする、次のような活動を仕組みます。
(1)教室の入り口でピリッとした気持ちにさせる
教室の入り口に小さなホワイトボードを置き、子どもたちが例えば「友だち5人以上にあいさつしよう」「○○という漢字を書きましょう」などと書き込み、生活や学習のポイントを押さえさせ、気持ちと頭を学校モードに切り替えるようにさせます。
書く内容は、昨日に学習した大切なことや友だち関係をよくする活動です。週に1回、教師が問題を出すとよい。
担当の子どもが放課後に書き、次の日の朝に子どもたちはそれに目を通して教室に入ります。
ときどき、教師が問題を解いたかチェックします。
(2)黒板メッセージ
その日の行事等の活動に対する心構えを持たせることや、友だち関係をよくする活動を黒板に書く。例えば、今日は○○さんの誕生日です。「おめでとう」と言いましょう。
8時30分の始業時刻までに読んで実行するルールにしておきます。前向きな温かい雰囲気が出てきます。子ども間のコミュニケーションも豊かになります。
数人の担当者が放課後に書きます。
(3)質問タイム
ほめ言葉のシャワーを浴びるその日の主人公に、全員が質問する活動です。
バラバラのことを質問するのではなく、最初の質問の答えに関連した質問を続けていきます。どんどん掘り下げていくことになりますから、その子のことを深く知ることができます。
最初は答えやすく楽しいテーマからスタートします。例えば「カレーライスは好きですか?」といった質問がよいでしょう。言葉のキャッチボールを楽しむことをねらいとしています。
慣れてきたら、自分の好きなことや得意分野などを簡単にスピーチして伝え合うようにさせます。例えば「ぼくは、アニメのワンピースが好きです」などと、最初に話をさせるのです。その後に質問を受けさせるのです。
帰りの指導は、また学校に来たくなるような、明日もまたがんばろうというような取り組みがよい。
自分に自信を持つことができ、クラスのみんなと一緒で楽しいという一体感が感じられるとなおよい。
ただ、なんとなく帰りの会を行ったとき「教師の説教で終わる、友だちの悪い行為の指摘で終わる」という終わり方をする場合が時々あります。
教室は暗い雰囲気の状態になり、そのまま下校を迎えることになります。
帰りの会は「ほめ言葉のシャワー」のみです。連絡事項は、すき間時間にあらかじめやっておきます。
「ほめ言葉のシャワー」は、子どもたち一人ひとりのよいところを見つけ合い、伝える活動です。
「ほめ言葉のシャワー」は、子どもたちの成長を信じて真剣に話します。この活動によって、一人ひとりに「自信」が生まれ、お互いを尊重し、理解し合うことで、学級に「安心感」が広がっていきます。
具体的な手順は
(1)日めくりカレンダーを各自1枚ずつ描く。
(2)その日のカレンダーを描いた子どもが帰りの会で教室の前に出る。
(3)その子のよいところを、自由起立で、シャワーのように発表する。
(4)全員の発表が終わったら、お礼のスピーチを行う。
(5)最後に教師がコメントを述べる。
(菊池省三:1959年生まれ、 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「
菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)
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