子どもが反抗するとき、大人はどのように対応すればよいのでしょうか
子どもに反抗されると、腹が立ちます。けれども反抗は子どもの自立には欠かせないことなのです。
親がわが子をいつまでも、子ども扱いしていると、次第に「うるさい」「ほっといて」となっていきます。この親に反発する時期を反抗期といっているわけです。
子どもは、反抗しているわりには、親に甘えたい気持ちものこっています。自分では反抗と甘えが矛盾した行為であると、客観的に見るだけの心のゆとりがないのです。
反抗すると言っても、それは親の言うことや社会のルールを「どうして?」と、考え直している過程なのです。
それを積み重ねて行って「自分で考えて、自分で納得して、自分で行動できる自立した人間」になるのです。だから、反抗は子どもの「精神の自立」には欠かせないのです。
それをわかっていると「うるさい、くそババア」と、子どもに反抗されても、親は余裕を持って受け止めることができるはずです。
わが家でも、中学生だった息子と口論になり「あんたみたいな古いヤツは・・・・」と言われたときは「親に向かってあんたとはなんだ!」と、頭にきて怒りましたけれど、あとで「初めて言えたな、成長したな」と思いました。
この時期に親と子どもは葛藤しないといけないのです。だから、親は本気で怒って親子ゲンカしていいのです。
その一方で「やっと親に反抗し始めたな」と思って、それまでより少し距離をとるようにしてほしい。
そして「自分で決めろ。その代わり、失敗しても自分の責任だぞ」という世界を広げてやってほしい。子どもが自分自身で決めるように、親は少し態度を変えるのです。
子どもの屁理屈も自分を説明しようとして一生懸命に考え、考える力を伸ばすので、大事にしてあげてほしい。
失敗しても、それは間違いなく成長の糧になりますから、結局は失敗でなくなります。何とかするはずと子どもを信頼するのです。
「自分のことは自分で決める」ことのほかに、家のお手伝いは、子どもの自立には欠かせません。
意識的に家族みんなで家事を分担して、子どもに家事をやらせてみるとよいと思います。
掃除や料理は身辺自立、お手伝いしてお小遣いをかせぐのは経済的自立、買い物や親せきへの届もの、家族旅行の切符の手配などのお手伝いは、子どもが社会で自立するための練習になります。
わが子が格差社会でも、しっかり生きていけるように子育てするには、どうすればよいのでしょうか。
ぜひとも「自分への信頼感」をしっかりと育ててやってほしい。
遊びでも習い事でも、お手伝いでも勉強でも、部活でも何でもいいのですが、小さいころからいろんなものにチャレンジして「達成できた!」という達成感が大切です。
「私はできる」「がんばればできる」という自分に対する信頼感、そして自分にはいいところがあるという自己認識を育ててやることが、とても大事なことだと思います。
「子どもに自分で決めさせて、どんどんチャレンジさせる」「親は子どもを後ろから応援する」この子育ての基本を忘れないでください。待つということも大事なことだと思います。
(汐見稔幸:1947年生まれ、東京大学附属中等学校長、白梅学園大学・同短期大学学長、東京大学名誉教授。専門は教育学、教育人間学、育児学)
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