生徒指導の「カキクケコ」とは、なんでしょうか
生徒指導は、生徒の理解に始まり、生徒理解に終わるとも言われます。
私が大切にしている、生徒指導の言葉が「カキクケコ」です。
「カ」:いろいろな場面における子どもの様子を観察(かんさつのカ)する。
「キ」:観察した結果を記録(きろくのキ)する。
「ク」:接し方を工夫(くふうのク)する。
「ケ」:少なくとも一年間は、継続(けいぞくのケ)する。
「コ」:一人ひとりのよさの発見を主眼とし、子どもたちの心(こころのコ)をとらえる。
子どもたちの行動が、どのような背景によってもたらされているかは、日々の検証・省察なしには理解できません。
問題をすぐに解決しようと思っている時ほど、生徒指導はうまくいきません。
生徒指導の記録を時系列で取っておくとよい。
私は、表計算ソフトに、子どもたちの行動、指導の内容、家庭への連絡内容、その時の教師の考えや気持ちを時系列で記録しています。
記録を取っておけば、どの部分で指導がうまくいったのか、また、逆にうまくいかなかったのか、複数の教師で検証・省察することが可能になります。
子どもたちを見取る自分自身の目や子どもたちへの日々の関わりに自信をもつことは大切です。
しかし、生徒指導がうまく立ちゆかなくにったとき、そこで手詰まりになることを避けねばなりません。
記録をもとに検証・省察することができるようになれば、次の一手が見えてくることもしばしばです。
その記録から、子どもたちの強みや学校生活に生かしたい点、課題や支援を要する点、また、どの教師が関わった時に指導が通ったのかなどを検証・省察していくのです。
生徒指導は、人と人との関わりが根底にありますから、このようにすればこうなるという定石のようなものはありません。
教師は自分自身がどのような姿で子どもたちに見えているか、客観的に見る必要があります。鏡に向かって、怒った顔をしたり、思い切り悲しい顔をしたりするとよいと思います。
教師は日頃の生徒指導で、自分自身のキャラクターと生徒指導が合致しているか、考えなければなりません。
生徒指導をしていると、同じ指導をしていても、指導効果が違うという場面を何度も見ます。
教師のキャラクターと生徒指導のねらいがうまく合ったとき、相応の教育効果が得られるのだと思います。
生徒指導は日々、検証・省察する根気のいる仕事です。
記録による検証・省察を繰り返すことで、子どもたちのよさを発見し、学校生活に生かすことができるようになるでしょう。
(小川拓海:1986年名古屋市生まれ、名古屋市立中学校教師。「明日の教室」名古屋分校代表、授業づくりネットワーク理事)
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