保護者からのクレーム対応「さしすせそ」とは何か、クレーム対応のポイントとは
保護者からのクレーム対応の「さしすせそ」とは
「さ」最初が肝心:ボタンのかけ違いからトラブルに発展することがある。
「し」しっかり傾聴:十分に時間をとって、要求を聴き、背後の真意を読む。
「す」すばやく対応:ズルズルと対応と回答を遅らせない。
「せ」正確な記録:「言った」「言わない」の事実誤認から問題がこじれる。
「そ」組織で対応:一人で抱え込み、悩み、職場で孤立しないようにする。
保護者からの理不尽なクレームは今後も増え続け、病気休職する教師も増加すると9割の教師が考えている。
保護者の理不尽な言動は、学校全体として受けとめて、管理体制を組む必要がある。管理職や生徒指導の教師が一緒になって理不尽な要求を言う保護者に、どのように対応していくのか適切か考えなければいけない。
保護者と面談するときは、管理職を含む複数の教職員で対応する。場所は会議室などにし、教室で担任が一人で面談しないこと。
教室は密室空間になり、精神的安易さから後で「言った」「言わない」のトラブルのもとになり、問題解決がこじれる原因になる。
保護者と気持ちよく面談するためのコツは
(1)部屋の入口まで迎えに出る
保護者は子どもをサポートする教師のパートナーになってほしい相手である。だから、来校されたことをねぎらい、歓迎の気持ちを示したい。
(2)保護者と教師は机の角をはさんで90度の位置に座る
90度は親しみを感じさせる位置である。多くの人にとって、利き手側に教師がいると、落ち着きやすい。
(3)話の最初は、子どもの最近の肯定的なエピソードから
子どものがんばっている姿や成長の様子などを具体的に話すと、子どもをちゃんと見てサポートしている学校の姿勢を伝えることになる。
保護者対応のポイントは
(1) 初期対応
保護者の話は感情を抑えて素直に聞く。相づちはやや低めの声で、語尾を下げて「はい」などと発音する。
あわてずに、クレームの真意を読み、冷静に説明する。弁解がましく説明しない。
学校側に非があれば、素直に謝罪する。誤解があれば、説明不足でみなさまにご迷惑をおかけして申し訳ございませんと。
(2) 事実の確認
こみいった内容は、連絡ノートでやりとりせず、直接面談し、笑顔で話し合う。
事前に打ち合わせ、聞き役、調整役などを分担し、周到な準備をする。
教師然とした態度や上から目線的な話し方、ため口は避けること。言葉尻で保護者は怒り出す。
面談内容は正確に記録(5W1H)する。可能なら録音もとる。
最後に「このたびは貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました」
(3)組織的に早期対応する
学年の同僚教師、管理職へ速やかな報告をし相談する。
管理職、学年の同僚教師、生徒指導、養護教諭、カウンセラー等の複数の教職員で早期対応する。
関係教職員による「ケース会議」を立ちあげる。
(4)教育委員会・専門機関と相談・連携する
保護者が教育委員会へ通告しそうな場合、あらかじめ事前連絡し、助言・支援をもらう。
保護者が裁判所に訴えることがあるので、教育委員会の顧問弁護士、警察へ相談する。
(古川 治:1948年生まれ、大阪府公立小学校教師・指導主事・校長、東大阪大学教授を経て、甲南大学特任教授)
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