学校で事件が起きたとき、どのように対処すればよいのでしょうか
誰かがケンカを始めたなど、何かと事件は起こるものです。事件の場合は、目撃者の証言が大切になってきます。
見ていたと思われる子どもたちにその場で聴き取りをしておきます。記憶があいまいになったり、変な圧力で口を閉ざすこともありません。
トラブルの対処を教師一人でしてしまうと、指導に漏れが出て指導が後手になりかねません。事実の確認に8割の労力をかけるべきです。初期対応は素早く、大勢の教師でしましょう。
複数の子どもたちが関わっていたりする場合、事実を曖昧なまま指導すると、子どもたちや保護者に不信感を与え、クレームにつながることがあります。
次のような方法で事実を確認します。
(1)どの順序で話を聞くか、方針を決定する。
(2)複数の教師で対応する。話をする教師、メモを取る教師など役割を明確にする。
(3)事実が合わない場合は、徹底的にその部分を調べて合わせるようにする。
(4)事実が出そろうまでは指導に入らない。
(5)事実を教師全員で確認する。
常に冷静に事実を淡々と確認する姿勢が必要です。指導しなければならないという思いを一旦置いて、じっくりと子どもたちの話を聴くようにします。
子どもが心を閉ざしてしまうと、話ができる関係に修復するには大変な労力が必要です。教師は生徒指導の場面において聴くということをもっと重視しなければなりません。
事実を徹底的に合わせるという教師の姿勢を見せることで、子どもたちは事件に向き合おうという気になれる可能性が高くなります。
どのようことをポイントにして聴けばよいのでしょうか。
(1)じっくりと待つ
会話が途絶えても、教師から話を無理に続けようとせずに、子どもたちの方から言葉が出されるように、待つことを大切にして聴くとよいでしょう。
(2)子どもたちの話を反復する
子どもたちの話の要点を反復します。
(3)表情から読み取れる気持ちを聴く
子どもたちが語り始めたら、その瞬間の表情(目や体の動き、姿勢、声の調子や抑揚など)を総合的に読み取り、子どもたちの話を聴いていく。
目に見えない思いや気持ちに寄り添うことも重視すべきです。
子どもたちの話を聴くということは、子どもたちに迎合しろという意味ではありません。話を聴いたうえで、指導すべきことは毅然として行うべきです。
たとえば、ケンカの対応でまずしなければならないのは、話を聴いて状況把握を行うことです。ケンカには理由があります。双方から話をじっくりと聴く必要があります。
善悪の判断がついておらず、何が悪いのか分からない場合は、なぜ今回のケンカがいけなかったかを丁寧に教える、ということが必要になってきます。
「手を出したことがいけない」「相手に傷つくことを言ったらいけない」など、教えないと知らないことが、子どもたちにはたくさんあります。
教師が介入しないという対応があってもいいのではないでしょうか。子どもたちに「どうすればよかったか」、子どもたち自身で解決方法を探らせます。
そうすることで、問題を自力で解決する力を手に入れ、より大きな成長を得られるようになることもあります。
常に、目の前の子どもに適した柔軟な対応を意識して臨みたいものです。
(杉本直樹:1980年大阪市生まれ、大阪市公立中学校教師。生活指導部長。教育サークル「未来」)
(小川拓海:1986年名古屋市生まれ、名古屋市立中学校教師。「明日の教室」名古屋分校代表、授業づくりネットワーク理事)
(成田翔哉:1988年愛知県生まれ、愛知県公立小学校教師。教育サークル「ほっとタイム」代表)
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