子どもと関わるときに、してはいけないこと、すべきこととはなんでしょうか
昔から言われている子育ての知恵をごぞんじですか。
乳児は肌を離すな。幼児は肌を離して手を離すな。少年になったら、手を離して目を離すな。青年期に入ったら、目を離して心を離さないようにと。
思春期の子どもと向き合うときに、してはいけないことがあります。
1 子どもと対等になって衝突しない
子どもが罵詈雑言をぶつけてきたときカチンとくるのは、子どもと同じ精神年齢になっているからです。子どもと同じレベルになると、衝突が起きるので、同じレベルにならないことが大事です。
2 子どもを傷つける言葉を使わない
今の多くの子どもたちは荒い言葉を使います。子育てで「荒い言葉しか、かけられてこなかったのだろう」と私は思います。大事にされなかった子どもは、相手を大事にすることができません。
子どもに優しい言葉をかけるようにしてください。
3 ガミガミ言わない
過去にさかのぼって怒らない。話が長引くと、いやになってしまいます。目の前のことだけを短く(3分以内)さとすこと。
4 子どもを追いつめたり、つきはなしたりしない
やりすぎは禁物です。「勝手にしなさい」といった言葉は子どもの心を深く傷つける。
子どもが思春期になれば、安心して生活できる環境を整えましょう。「待ってやること」が大事です。
だから、距離をとって「いつも見守っているよ」というメッセージは伝えてください。
大人が子どもに話を聞いてもらいたいのであれば、大人が子どもの思いを聴いてやることです。そのうえで話すと、最低ひとつは、子どもの心に入っていきます。
子どもの問題行動に大人の問題が隠れていることはよくあります。
大人がそれに気づくと、子どもへの対応が違ってきます。大人が自分をふり返り、ありようを考えることで、再生のきっかけになることはたくさんあると思います。
子どもを変えようと考えないで、大人がちょっとした工夫や努力をしてみてください。子どもの態度にも変化が生まれてきます。
気持ちが揺れる思春期だからこそ「ほめる、認める」が必要なのです。そのためには
まず、子どもにまなざしを注ぎ続ける。つぎに子どもの言葉にじっと耳を傾ける。
そうすれば、必ずといってよいほど、ほめるべき言葉が出てきます。子どもをほめていくうちに、大人の喜びも増えるはずです。
「どうせ自分なんて」と口ぐせの自己肯定感の低い子どもには、できてあたりまえのことでもほめるようにします。
そういう子どもたちは、反抗的な態度をとって強がっていても、精神的には弱りきっています。
成長するには水やりが欠かせません。ほめることは愛情という水やりです。
Iメッセージで「がんばりを見ていて、私も励まされたわ」と、子どもの行動をどう感じたか伝えるとよい。
できるだけ肯定語で「さとす」ことも大事です。「○○するな」ではなく「○○しようね」とか「○○をしてみるといいよ」という言い方を心がけましょう。
何よりも大事なのは、叱った後には、その何倍も「その子の良いところ」をほめてあげることです。大人が「心から心配しているんだ」というメッセージが伝わってこそ、子どもは素直に謝ることができます。
子どもと向き合うとき私が心がけていることは、声を荒げないこと。目を見て話すこと。
声を荒げると、子どもも声を荒げます。強い言葉を出しても、子どもの心に入っていくわけではありません。
目を見て穏やかに話すことは、子どもと向き合う出発点です。「私はこれをあなたに伝えたいのよ」という思いを込めてていねいに話してください。
そして、必ずほめて終わること。「最後までよく聞けたね」「がんばったね。ご苦労さん」と声をかけて終わります。
子どもの自尊感情を高め、お互いの絆を確かめる言葉かけは、とても大事です。
(土井高徳:1954年福岡県生まれ、里親。心に傷を抱かえた子どもを養育する「土井ホーム」代表)
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