力のあるたくさんのプロ教師と接してきたが、プロ教師の共通点と、素人教師との違いとはなんでしょうか
私は全国の研究会をまわり、力のあるたくさんのプロ教師と接してきた。プロ教師にはつぎのような共通点があることに気づいた。
1 仕事が早い
メールを送ったら、すぐ返信されてくる。手書きの手紙を送ったら、即返事が返ってくる。誰に対しても返事が早いというところがすごいのである。
2 常に向上し続けるための手だてをとっている
学ぶのを止めたら、力は下がっていくと考えている。
必ず何かを自分に課している。若いうちから、実力を磨こうと人一倍努力している。
本を読む。セミナーに参加する。文科省の答申を隅々まで読む。教育論文をチェックする。
自分の授業を録音や録画して、自分をチェックしたり、自主的に研究授業を定期的に行い100回達成することをめざしている教師もいる。
ある教師は研究授業を一度見ただけで、検討会で授業者の言葉を全て再現してみせた。プロ教師は素人にはできないことができるものだと、ほれぼれしたのを覚えている。
3 人間的に甘えがない
信念をもとに行動しているから、自然と芯の強さが表れる。
何ごとも自分が主体となって、独立心を持って自分で何とかしようとし、できない言いわけをしない。
プロ教師の考え方で、私が印象に残った言葉は
「実力は、上がるか下がるで、現状維持はない。つまり、プロとして生きるか、アマとして生きるか、二つに一つしかない」
学び続ける教師の実力は向上し続ける。やがて、子ども、保護者、同僚から信頼を集めるようになる。
すると、次々と重要な仕事を任されるようになる。こうして、ますます実力が上がって行くサイクルができあがる。
反対に、学ばない教師の実力は、現状維持にはならず、下がり続けるのである。プロとの差が開きすぎると、困ったことに自分とプロの差が見えなくなり「自分はまんざらでもない」と思えるようになる。
教師の世界は、実力の世界である。どんなに経験を積もうが、どんなに年をとろうが、最終的に「子どもを伸ばしたかどうか」で判断されてしまう。
だからこそ、教師の実力を高めることが大切だと、プロ教師は考えている。そして、高い理想を追い求めている。子どもたち全員を伸ばしたいと本気で考えている。
子どもは誰でも可能性をもっており、それを伸ばせないのは教師の力量不足の問題だととらえている。
高い理想を追い求めているからこそ、プロ教師の行動は、他の教師と変わってくるのだろう。
(大前暁政:1977年生まれ、岡山市立小学校教師を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞)
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