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モンスターペアレント問題はどうすれば解決することができるでしょうか

 モンスターペアレントとは、学校や教師に対して、無理難題を突きつけてきたり、理不尽なクレームを訴えてきたりする非常識な親を指して用いられています。
 モンスターペアレントの実態は、一般の方の想像をはるかに超えています。たとえば、ある学校で、ガラスを割った子どもの家に弁償が必要になる旨の連絡をしたところ、
 翌朝、その母親が職員室に駆け込んでくるなり、つぎのようなことを言ったそうです。
「うちの子が悪いなんてとんでもない。子どもが手に取れるようなところに石を転がしておいた学校側の責任でしょう」
「今日、そのことを説明するために私はパートの仕事を休んで学校に来たのですから、その分の休業補償をお願いします」
 これは、あるテレビ局が実施したアンケートによって浮かび上がったきた実話です。
 耳を疑いたくなるほど身勝手な主張だと思われた人が多いことでしょう。しかし、これと似たような例は、ほかにいくらでも挙げられます。
 モンスターペアレントの中には、自分のストレス発散のためであったり、金銭目的である場合もあります。
 理解し合えるとは思えないような事態にまで発展することがありますが、根本的な部分を考えると、多くは、子どもの教育をめぐる考え方の違いなどからトラブルが発生しています。
 教師と保護者の関係がどれだけもつれようとも、根本の願いが「子どもへの愛情」にあって、同じであるとするならば、教師と保護者が理解し合えなかったり、結び合えないことはないはずだ、ということが一番のポイントになるわけです。
 教師と保護者は、わかり合える「子どもへの愛情」というベースを持っているのですから、いつまでも交じり合えない平行線の上を進んでいるわけではないのです。
 私は教師や保護者に「どうすればモンスターペアレントの問題を解決することができますか」とアンケート調査(2007)をしました。その調査結果(複数回答)
1 親と教師の相互理解が高まるよう努力・工夫する  51.6
2 親の子育てを孤立させない  34.4
 (地域にサポートセンターを作る)
 (教育的リーダーシップの発揮)
4 教師にゆとりを求める  23.9
5 学校問題解決支援チームを作る  23.3% 
 (医師・警察OB・臨床心理士・精神科医・弁護士など) 
6 教師の相談にのる教員OBの配置  6.8
となりました。
 保護者側の回答だけを見ても「親と教師の相互理解が高まるよう努力・工夫する」の割合がもっとも高く、55.8%となり、もっとも重要なのは「親と教師の相互理解」となっています。
(
尾木直樹:1947年生まれ、教育評論家。高校・中学校教師22年間を経て退職し臨床教育研究所「虹」を設立。早稲田大学客員教授、法政大学教授などを経て、法政大学特任教授)

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