自分の思いを、うまく相手に伝えるためには、どうすればよいのでしようか
松岡修造といえば「情熱的に、言いたいことをすべて口にだして伝えている」というイメージを持たれているかもしれません。
本当の僕は、人前で話すことが苦手です。いまでも伝えることに悩んでいます。
しかし、相手に思いを伝え続けていると、その壁がだんだん低くなっていきます。
僕は特に「これは絶対に伝えたい!」と、いうものがあるときは「一人リハーサル」をくり返し行います。
まずは、自分の心とじっくり向き合い、伝えたいポイントを紙に書き出します。
その内容をもとに原稿をつくり、伝える相手をイメージしながら、本番さながらの気持ちで何度も読み上げます。
その姿をスマートフォンやビデオで録画してみると、ふだんは気づかない話し方のクセがよくわかります。
僕の場合、練習を繰り返すうちに「語尾がはっきりしない、声が小さくなる、意味もなく同じ言葉を繰り返し使う」という悪いクセが見つかりました。
この一人リハーサルで大切なのは「自分ツッコミ」です。
文章を読み上げながら「何が言いたいの?」「悪いクセが出ているぞ!」などと、ツッコミを入れるわけです。
また、間の空け方や言葉つかいのおかしい部分、話が回りくどいと感じる部分には。赤ペンで原稿にダメ出しを入れ、修正していきます。
これでOKと思う原稿ができれば、紙を見ないですらすらと話せるようになるまで、さらに練習します。
このようなステップを踏んでいくと、伝える内容がシンプルになっていきます。
練習を通じて基礎を固めていくと、しだいに「自分らしい言葉」が見つかるようになります。
言葉は、練習すればするほど、良い流れや表現が見つかるようになります。
「どうすれば、相手に伝わるのか」と、工夫を重ねるうちに、借りてきた言葉でなく、自分らしい言葉が選べるようになる。
伝え方について悩むことは、あなたが相手のことを真剣に考えている証拠です。
相手を思う気持ちが強いから、本気で考える。伝えたいメッセージがあるから、一生懸命に工夫するのだと思います。
そうした真剣な気持ちは、あなたの情熱として、必ず相手にも伝わるはずです。
伝える行為は手段であり、常に目的があります。
思いを伝えることで、相手にどうなってほしいのか。伝え方で悩んだときは、自分の心が発している声に耳を傾けてみてください。
そして、その声を自分なりの言葉に変えて、まつすぐ誠実に、相手に伝えることが大切です。
最後に、常に相手を思いやる心だけは、忘れないでほしいと思います。
(松岡修造:1967年東京都生まれ、プロテニスプレイヤー、スポーツキャスター。子どもたちの育成に力を尽くしている)
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