授業で優れた発問をするにはどのようにすればよいか、発問づくりの原則、王道とは
発問は子どもたちの思考をうながす。教師の第一発問は重要である。
私は最初の発問は「助走」のようなものだと思っている。子どもたち全員を、まずはゆっくりでいいから走らせて、次の段階に進ませるとよいと考えている。
たとえば、社会科の絵や写真を示し「何が見えますか」と問う。これならば、子どもたちも見えるものを答えるだけだから、簡単である。
「大きな屋敷が見える」「武士がたくさんいる」「馬も多い」というようにどんどん言える。
このような助走のための発問は、どの教科の授業でも用意しておくべきだ。どんどん子どもたちが発言した分、子どもたちに必要な情報が加わっていく。
私は初任だった時代、教育雑誌に授業に直結した発問を多く特集していた。明日の授業にも困っていた私は、特集をむさぼり読んだ。
その中で「なるほど、こうやって発問はつくるものなのか」というものに出会った。有田和正氏の「バスの運転手」(小学校二年生、社会科)にかかわる発問です。
一般的には「バスの運転手さんはどんな仕事をしていますか」となるであろう。既有の知識を問う発問である。当然、運転手の仕事について知っている子しか反応できない。
有田氏の発問は違っていた。「バスの運転手さんは、どこを見て運転していますか」というものである。
「見えるもの」という知覚語を使うことによって、子どもたちの豊かな反応が引き出される発問であった。
私は、三年生の自分の学級で試してみた。
最初は「前を見て運転している」という答えに続いて
「標識も見ている」「信号も見ている」「歩行者」「天気」「横の車」「バックミラー」「サイドミラーも見る」
と、いうように次々と反応があったのに驚いた。
子どもたちの思考を活性化させる優れた発問のすばらしさを実感した。
優れた発問のすばらしさを知ってからは、どのような優れた発問があるのか追究したくなる。
教育雑誌や書籍、授業参観などを通して情報を収集していった。とくに自分の得意教科である社会科については熱心に行った。
収集した発問の数も多くなると、それら発問の原則らしきものが見えてくる。たとえば、
1 わかりそうで正確にはわからないものを「いくつ」と理由をつけて予想させる
例「学校にある水道の蛇口はいくつか」
2 その教材ならではの問い
例「消防署の人々は火事のときに、最初に何をするでしょうか」
消防署に取材をしたとき、消化活動と同時に人命救助することを知った。教材研究のし過ぎはない。
2 社会科
(1)人を問う
例「コメの値段は誰が決めるのか」
(2)提案させる
例「交通安全のための施設を一つ増やします。あなただったら、どこに何を増やしますか」
(3)選ばせる
例「家庭から出すごみは有料がいいか、無料がいいか」
(4)一見、矛盾に思われることを問う
例「交通事故を減らす工夫をしているのに、なぜ事故は減らないか」
3 算数
算数の授業で、何人かの子が解き方を全員の前で発表する。そけぞれ解き方は異なっている。どのような発問が、子どもの思考をうながすか研究した。
(1)共通性を問う
例「2つの考え方で似ているところはどこか」
(2)よさを問う
例「Aさんの解き方のいい点は何か」
(3)簡潔性を問う
例「これらの解き方のうち、簡単にできるのは何か
(4)有効性を問う
例「いつでもこの考えは成り立つのか」
発問の原則を見つけるにしろ、その教材独自の発問を見つけるにしろ、大事なのは自分なりの発問づくり研究の道を見つけ、歩くことである。
今まで先達の教師たちが数多くの発問を残してきた。今はインターネット上でも多くの発問を検索できる。
それらの先行実践を研究し、自分で発問を選んだり考えたりする。授業の反応から原則を見つけ実践を積み上げていく。それが王道なのである。
(佐藤正寿:1962年秋田県生まれ。岩手県公立小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れている)
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