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人生はいつだって、今が最高のときなのです

 人生は、あなたの思っているよりも、十倍も愉(たの)しいところです。あなたの人生観を不愉快から愉快と言う字に書き直してください。
 するとあなたは、気がつくことでしょう。人間というものは、愉快なこと、明るいことを好むものだということに、気がつくでしょう。
 私はふだんから、明るく生きていく習慣を持っていたいと思っています。それは、ちっとも難しいことではありせん。何でもものごとを明るく陽気に考えるようにすることなのです。
 私は、ものごとを否定的に考えるのが好きではない。私が「気分は最高です」と言えば明るい気分になる。部屋の中にも明るい空気が流れる。言葉には魔力があるのである。
 自分のことを「運のよい人間だ」と思うようになってください。きっと自分の思った通りになりますから。運というものは、自分で拓()くものです。
 出来ると確信さえすれば、どんな不可能と見えることでも可能なのです。人間の心というものが、そういう不思議な働きを持っているのです。
 私は割合、人を信じるほうです。「私が相手を信じた分量だけ、相手も私を信じる」というのが私の持論です。
 これは私が若いときに人を好きになったとき「私が相手を好きになった分量だけ、相手も私を好きになる」と信じた。はずれることはなかった。人間同士の張っているアンテナにも、正確に電流が通じるのです。
 陽気な人は人に好かれる。生きていくことが上手な人は、何よりも快活な人である。すぐそばの人にうつる大きな力を持っている。
 ありのままの人間をそのまま愛し、その人をまるごと受け入れることが真の愛である。
 自分が変わると、相手が変わって見える。私が、からを脱いだセミのように変わると、相手が変わって見えるのである。
 人と人との間は、悪意も善意もそのまま伝染する。それが善意であると、受け取った人も、相手に善意を感じる。
 言い争いになったときは、じっと辛抱して、ちょっと笑顔をして見せるとよい。相手の笑顔を見て、腹を立てることは誰にもできない。
 
「あなたは、とても偉い人です」と言われて、よい気持ちにならない人はありません。相手はよい気持ちになって喜ぶからです。この方法は、私がなが年の間に獲得した、人に元気を与える方法なのです。
「あなたはやさしいのね」「あなたの表情は美しいわ」「あなたの声はすてきね」、これらの言葉は魔法使いである。
 人間の考えることは、ものごとを否定することと肯定することの、二つしかありません。あの人はいい人だ、素敵な人だ、と思うことは肯定することです。肯定する習慣くらい人間にとって幸福なものはありません。
 人の顔つきも習慣である。笑顔が習慣になれば、しめたものである。
 私は辛いと思うことがあると、その辛いことの中に、体ごと飛び込んでいく。飛び込むと、辛いと思う気持ちに体が馴れてきて、それほど辛いとは思わなくなる。これが私の、生活の術なのである。
 悩みや心配ごとから解放されるコツはこだわらないこと、これ一つです。
 私は、自分に興味のあること、したいことを追い求めて忙しく生きてきた。過ぎたことをくよくよしているひまはなかった。
 思い出したくないことは、つぎつぎ忘れ去ってしまった。この忘れるという特技が自分自身を救う一種の精神的治療法になったような気がしている。
 実際、人間って、そこが雨降りだと、世界中どこへ行っても雨降りだと思う。
 世界中どこへ行っても雨降りみたいな気になりやすいものですけど、実際にはそんなことはありません。
 別の場所では、よいお天気なところもあるのです。ちょっと気を変えて、一刻も早く、別の新しい道を一歩踏み出してみる。
「おや、こんなところに出たわ」と自分でも信じられないほど、明るい場所に出るものです。
 何事をするにも「それをするのが好き」という振りをするとよい。ものまねでもいい。すると、嫌いな人もなくなる。自分自身を救う最上の方法である。
 物事は何事にもよらず、夢中になってそのことに熱中すると、必ず何かを生み出してくれます。
 何でも、面白さを見つける。その中に入っていく。私はどこでも自分流のたのしみ方を見つけて生きる名人です。
 
「忙しい」というのは、追いかけられることではない。追いかけられて暮らすのは禁物である。自分が追いかけるような気持ちでいることである。
 どんな仕事であっても、仕事を追っかけていると、とても気持ちがよい。ストレスを感じる暇がない、という状態になったら、しめたものである。
 私は、何か思いついて、新しいことをし始めると、生き生きと熱中して、夢中になってしまう癖があるのでした。
 私の生涯の中の不幸も幸福も、今になって考えると、この熱中癖から生まれたものが大部分なのではないかと思います。熱中しているうちに過去は消えます。
 人生はいつだって、今が最高のときなのです。
(
宇野千代:1897- 1996年、小説家、随筆家。多才で知られ、編集者、着物デザイナー、実業家の顔も持っていた)

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