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授業がうまくなると保護者からも信頼される、どうすれば授業がうまくなるのでしょうか

 教師の原点と言えば授業です。
 授業のうまい先生は「熱」もあるし「元気」だし「一生懸命」だし、子どもの「生活態度」にも、うるさいものです。
 そして、何よりこのような教師は「子ども理解」がしっかりしています。そうでないと「うまい授業」は決してできないからです。
 授業がうまくなるということは、教師としてあらゆる条件が成長するということです。
 
「いい授業」ができたとき、子どもの反応もいいし、「いい表情」になり、次への意欲もみなぎります。そして、保護者からも信頼されるようになります。
 授業の名人と言われる先生は、本当に多くの研究授業をされています。
 授業の力を伸ばすためには、人にみてもらう「研究授業」を行うことです。この経験が後々に大きく影響してきます。
 この経験をたくさんすればするほど、授業は必ずうまくなっていきます。
 若いときに、どれだけ研究授業をして、どれだけ批評してもらうかによって「授業のうまい先生」になれるかが決まってくると言っても過言ではありません。
 研究授業をする場合、教科が決まり、単元が決まったら、次にするのが授業の構想を立てることです。ここが研究授業で一番重要な点になります。
 まず、自分のクラスで一番気になっている子どもを思い浮かべます。そして、その子が「ああ、おもしろいなあ」と目を輝かせるようにするためにはどうしたらいいかを考えます。
「あの子はこの質問にどう反応するだろう?」「あの子はこの図を理解できるだろうか?」「あの子とこの子との関係はどうなるだろう?」
そんなふうに考えながら授業を組み立てていくことが大切です。
 ときには「この教材はこうだから、こう進めていくのがいい」と、教材研究ばかりに目がいってしまうことがあります。
 また、いろいろな先生がそれぞれの経験を話してくれますが、それをただ真似するだけでは駄目です。
 そのやり方であの子がどう反応するだろうかと考えてこそ、初めて「私のクラスの授業」となります。
 研究授業をする際、一番やっかいなことは、指導案を書くことです。大変な時間を費やされることになります。
 苦労して指導案を書き、研究授業をしても、指導案どおりにはいきません。
 でも、それは無駄ではありません。授業が失敗した理由がわかるからです。
「ここはこう考えていたが、子どもたちの思考はこっちだった。それなら次はこのやり方でやってみたらどうだ」
と、授業の進め方や子どもの気持ちがだんだんとわかるようになっていきます。
 指導案を書いたことによって、授業のイメージが自分のなかにしっかりできていた結果、そのズレに気づくことができるようになっていきます。
 ふだんの授業では見過ごしてしまう意見や行動も、指導案を書くことによって意識づけられていたからこそ、気づくことができるわけです。
 授業のことも、子どものことも、自分自身のことも、頭ではわかっているつもりでも、いざ書こうとしても書けないものです。
 しかし、苦労をしながら指導案を書くことによって、それらが少しずつ整理されていき、そこからいい授業が生み出されていくものです。
 指導案がうまく書けるようになったら、おのずと授業はうまくなっていくはずです。
 指導案の一番大切な部分は趣旨です。「この子どもたちに、こんな教材を使って、こんな指導をしたい」という教師の思いが、次のように、しっかり書かれていることです。
(1)
児童観
 クラスの子どもをどう理解しているかを書きます。注意を個に向けることによって、全体がみえてきます。気になる子の様子を書くことによって「この授業をどうしたいのか」がわかってきます。 
(2)
教材観
 その教材とクラスの子どもがどうかかわることができるのか、を書きます。
 この教材はこんな点で子どもを生かす。だからこの教材を使っている、というのが教材観です。
 クラスのあの子がこの教材を使うことによって、こんな心の揺れが起こるであろう、ということが書かれていることが大切です。
(3)
指導観
 この子どもたちを、この教材で「どう指導するか」を、具体的な手だてを含めて書いていきます。
「気になるあの子」の心をどういう手だてで揺らすのかをはっきり書くことが大切です。
 授業がうまくなるには、とにかくたくさんの授業をみること。授業の名人と言われる人の授業は、何があっても何度も見に行くとよい。
 授業を見に行ったときに何をみるか。どこで子どもの目が輝き、心が揺れたか。子どもの変化や変容に目を向けてください。
 記録しておくのは、指導のなかで子どもの心が揺れたところ。なぜ揺れたかを後で分析します。逆に揺れなかったところを記録し、分析します。
 子どもの心が揺れる授業をした教師に、そのコツを、しつこいぐらいに教えてもらいましょう。そのコツをひそかに盗むことです。
(仲島正教 1956年生まれ 小学校教師を兵庫県で21年間勤務。指導主事を5年間勤務。48歳で退職。2005年より教育サポーターとして、若手教師対象に「授業づくり」や「学級づくり」等のセミナーを開くかたわら、講演活動は全国各地にわたり年間150回を数える。2016年「西宮市教育功労者表彰」を受ける)

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