感情がたかぶっている相手を落ち着かせるには、どうすればよいか
感情がたかぶっている相手を落ち着かせるコツは、「落ち着かせようとしないこと」が一番です。
本能的に「急いで、鎮めなきゃ」と考え「落ち着いて」というのは逆効果です。
相手の感情を否定し、抑えつけるのではなく、まずは認めてあげましよう。
怒っているのであれば「怒るのも、無理ないよね」と、その感情を承認する。
そうやって、あせらず、ゆっくり時間をかけて落ち着くのを待つほうが、効率がよいのです。
大切なのは、常に自分は冷静であること。一緒に感情に流されては、相手を救ってあげることはできません。
たとえば、相手を怒らせてしまった場合
できれば、まずは謝ることが一番です。
自分に明らかに非がないときには
「そんなに怒らせちゃって、ごめん」
「嫌な思いをさせて、ごめんね」
と、相手の状態に対して謝罪を述べましょう。そして、
「どうしてそんなに怒っているのか、聞かせてくれる?」
「詳しく教えてくれる」
と、言い分を聞いてあげることが重要です。
どうして嫌な気分になったのか、迷惑をこうむったか、そういったことを存分に吐き出すと、人は落ち着きます。
怒りや不満をぶつけられたときの聞きかたで重要なのは「うなずき」です。
相手のリズムに合わせることが大切です。
相手が激しく怒っているときには、激しくうなずき、深刻に怒っていれば、うなずきは深く、ゆっくりとするのです。
うなずきのリズムに合わせることで、気持ちがわかったという合図になります。
人は、相手に感情を受け入れてもらえると落ち着くのです。
ほとんどの場合、怒っている人は、ただ発散したいだけですから、まじめに受けとめすぎると、自分が疲弊してしまうので「そうなんだ」「へえー」と、上手に相づちをうって流しましょう。
吐き出した後であれば「実は、こういう事情があってね」とか「聞いてもらえると、うれしいんだけど」と、こちらの言い分も聞いてもらいやすくなります。
先に言い分けから入ってしまったり、「私は悪くない」と開き直ってしまうと、何の解決もしません。
最初は我慢して、長期的視野にたって良好な関係を築くことをめざしましょう。
(伊東 明:1969年東京都生まれ、心理学者。ビジネス心理学など、企業研修や執筆活動で活躍)
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