目の前の子どもを救ってあげたいという一心が日本の教育を変える
今の日本は、多くの人が夢を持つことなく、流れに身を任せて生きているように思います。社会全体が無力感にさいなまれているような感じがします。
「人が人を思いやる」という当たり前であるはずのことが現代社会では薄れています。
私は、これからの社会に求められているものの一つは「ホスピタリティ」だと思っています。それは、相手の立場に立ち、相手に思いやりの心を持って接していき、心配りをしていこうという姿勢です。
私は、日本の教育を変えたい。そう考えています。
明らかに公教育の教育現場で欠けているもの、教育で最も重要なもの、それは「ホスピタリティ」だと私は思います。
「ホスピタリティ」は、生徒にいつも無償の心でもてなすという意味で、あくまで心のあり方です。いつも、生徒や保護者の立場に立ち、思いやりの心を持って接していこうとする意識です。
「なんとか、目の前の生徒を救ってあげたいという一心」これこそ、ホスピタリティの真髄だと私は思います。
その気持ちを持ち続ければ、いつかは必ず相手に伝わるものなのです。
一途に相手を思いやり、成功体験を与えたいと思えば、生徒に興味を持って、一生懸命に触れ合おうとします。
が、そう簡単には事は進みません。しかし、迷い、悩みながらも最後まで生徒を信じ、励まし、あきらめずにぶつかっていく。
その結果として「先生のおかげで、こんなふうに変わったよ」と生徒に言われたら、先生にとっても、きっとこのうえない成功体験になるでしょう。
また、生徒の家族もわが子の成功体験と感動を分かち合い、変わっていきます。
それは何物にも代えがたい至福のときであり、私は少しでも多くの人たちにこの瞬間を味わってほしいと願っています。
生徒がいて、保護者がいて、先生がいて、みんな心と心でつながって一つのコミュニティをつくっているのが教室です。
みんな笑顔で楽しそうにしている。そこに行くだけでみんなが元気になり、夢や目標を持つようになり、明るく前向きに変わっていく。ホスピタリティが日本の教育を変えるのです。
塾の先生というと、勉強ができて成績がよい人材が求められるというイメージがあると思います。しかし、私は、いわゆる学力よりも人物を重視して採用しています。
私の塾の先生の適性は、つぎのようなものがあげられます。
(1)子どもの視点に立てる
(2)コミュニケーション能力がある
(3)動機づけができる
(4)自責性(自分で自分の過ちをとがめ、自分に責任があると考えること)がある
(5)チャレンジ精神がある
(6)主体性がある
(7)モラルがある
これら、すべての根底にある「人となり」は、目の前の生徒を何とかしたい、という強い想い、つまり「ホスピタリティ」の心があるかどうかなのです。
この「ホスピタリティ」さえあれば、これらの適性は必然的に身についてくるものだと私は考えています。
私は「無我夢中」という言葉が好きです。無我夢中の生徒たちを見ると、私は涙が出るくらい感動します。
いまでこそ、東京個別指導学院は一部上場企業に成長しましたが、ここにいたるまでには数多くの苦難がありました。
うまく対処できずに落ち込んだとき、私を発奮させてくれたのが、生徒が無我夢中になって学習をしている姿でした。
机にしがみつき、必死に学習している、そんな姿です。そして、生徒が「やればできるんだね」と満面の笑みをこぼした、あの笑顔でした。
もしかしたら、私は心のどこかで、人を何かに夢中にさせたいと思っているのかもしれません。
人が目の前に立ちはだかる壁や課題を乗り越えていく瞬間を見て感動したいと思っているのかもしれません。その瞬間があるからこそ、人は生きていく意味があると思っているからです。
子どもたちには、もっと無我夢中になってほしいと思います。自分で目標を立て、それに向かって突き進む姿は何よりすばらしいと信じています。
(馬場信治:1958年東京都生まれ、大学在学中に塾を創設、公文教育研究会を経て、個別指導塾を運営)
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