子どもたちは厳しい先生が嫌いではない、信頼されるには父性、母性、子性の全てが必要だ
子どもたちに気に入られるためには、厳しさも必要である。
たとえば、学級崩壊である。誰も学級崩壊を望んではいない。
そこで、子どもたちは見ている。「この先生は、一部のやんちゃくんたちが、授業妨害を始めた時、厳しく叱って妨害を止めてくれるかどうか」を。
教師のリーダーシップのもとで教室を安定させてもらい、安心して暮らしたいと思っているのだ。
学級が国だとしたら、まず必要なのはお笑い芸人ではない。警察である。治安を守る警察こそが必要なのだ。教師は一人で警察の役を担当しなければならない。
それなのに、子どもを厳しく叱れない若手教師が多い。厳しく叱れば、子どもたちに嫌われると思っている。しかし、逆である。
きちんと叱らない教師は子どもに嫌われ、背を向けられる。リーダーとして信用されない。
では、厳しいだけでいいのか。厳しいだけのリーダーに子どもたちは、そっぽを向いてしまう。
今どきの子どもは秩序を守るだけでは納得しない。それにプラスして、自分たちを楽しませて欲しいと要求する。
子どもたちは、厳しい指導で秩序を守り、なおかつ、楽しさを保障してくれる教師を信頼する。
これからの教師は、厳しさとユーモアが必要だ。
授業も同じである。子どもたちは分かりやすい授業を求めている。しかし、それだけでは満足しない。同時に楽しさ、面白さを求めている。
バラエティ番組に慣れている今どきの子どもたちには、授業には分かりやすさと面白さが必要だ。
子どもたちに人気がある教師は「怖いけど、面白い先生。厳しいけど、楽しい先生」なのである。
教師ひとりが、この両方を使い分けるのは至難の技だ。
しかし、この両方の役を演じられない教師は、これからの子どもたちに受け入れてもらうことは難しいだろう。
ちなみに、学級担任は一人で「父性」「母性」「子性」の全てを担当できなければならない。父のような厳しさを持ち、母のような優しさを持ち、友だちのように一緒に遊ぶということだ。
教師は一人で何役もこなさなければならない。これからの教師は本当に大変だ。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。
また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)
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