いくら注意しても教師の言うことをまったく聞かない子は、どうすればよいのでしょうか
教師にとって「手のかかる子ども」は、実は教師に「目をかけてほしいと思っている子ども」です。先生に自分のことを気付いてほしい、わかってほしいと心の底では思っています。
そこで、掃除や給食当番などの指導のときではなく、落ち着いた状態のときに「先手必勝」+「当たり前のことをほめる」を取り入れてみましょう。
教師にしてみれば「どう言えば掃除をするだろうか」「もっと厳しく叱ったほうがいいのだろうか」と考えてしまいがちです。
こういった子どもの場合、その方法では解決に時間がかかりそうです。
先手必勝で、子どものよいところを言葉にして、ほめていくとよい。当たり前と思える行動を見つけて、その子にだけ聞こえる声でささやいてください。
人は自分のことを言われるときは、小さなささやき声でもよく伝わるものです。そんな地道な取り組みによって子どもとの信頼関係が深まっていきます。たとえば
給食当番の仕事をしているとき「ごくろうさま、今日から給食当番なんだね」
係の仕事をしているとき「いつもありがとう。助かるわ」
体育の授業でドッジボールをしているとき「おーカッコイイ、上手に投げることができるね」
(男子には行動面がカッコイイと伝えます)
休み時間に友だちと遊んでいるとき「たくさん遊べてすばらしいね」
(子どもはたくさん遊べること自体に価値があります)
こんなことまで認めると、子どもが図に乗ってしまうのではないか、と思われるでしょうか?
しかし、特別にほめることが見当たらないと思うような子こそ、「当たり前」と思われることを認めていく必要があります。
もしかしたら、ほめたり認められたりという経験が少なかったのかもしれません。教師から認められた経験は、この子にとってみれば間違いなくうれしい経験になっていきます。
その経験の積み重ねで「この先生は好きだな」と感じることが増え、次第に教師との信頼関係も深まっていくことでしょう。
そこまで信頼関係ができると、掃除や給食当番などの具体的な指導もぐっとしやすくなります。
まずは、子どもの様子を目を皿のようにして観察してみてください。そして、当たり前と思われることも、すかさず言葉にしてほめてみましょう。
子どもの存在を認めることになります。教師がそんなやり方を意識し始めた段階で、不思議と子どもとの関係はよくなります。
「この子は手のかかる子」「また、あの子だわ」と思っていると、ますます手のかかる状態になります。
「この子の何を認めようかな」と目を皿のようにして様子を見ているときは、案外、子どものよい変化が早く見つけられます。
教師のとらえかたひとつで、いくらでも子どもは変わっていきます。
( 東ちひろ:幼稚園・小学校教師、教育委員会を経て、「東ちひろマザーズセラピー」主宰。「子育て心理学.協会」代表理事。上級教育カウンセラー、生涯学習開発財団認定コーチ)
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