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親からクレームをつけられたり、学級崩壊を経験するのは当たり前の時代、どうすればよいか

 学校の中で孤立に追い込まれる教師が後を絶ちません。精神的に追い込まれていく教師。どうすればよいのでしょうか。
 
 いまは教師受難の時代です。教師にとって、子どもも親も難しい時代だから、長い間教師をしていれば、一度くらいは学級崩壊になったり、精神疾患になるのも当たり前です。
 
 だから、クラスが荒れても、親からクレームをつけられるのも特別なことではなく、恥ずかしいことではないのだから、一人で抱え込まないようにして、自分の体験を話してお互い支え合っていけばよいのです。
 
 ある教頭先生は学級崩壊を経験しています。当時を振り返りながら
 
「そのとき、周りの教師に支えられて退職せずに済みました。こうして教頭になることもできました」
 
「いま振り返っても、自分の学級運営が格段に悪かったとは思わない。私のクラスにたまたま問題児がそろっていたのです」
 
「荒れる可能性をもった子ども同士が、ある意味、相乗効果を発揮して爆発すれば、どんなクラスでも崩壊してしまいます」
 
「子どもも親も難しい時代だから、一度くらいは学級崩壊になるのも当たり前です」
 
「だから、一人で抱かえ込まないで、お互い支え合っていこうと、呼びかけているのです」と語っています。
 
 その教頭先生がいる学校で、クラスが荒れて悩んでいる先生が
 
「子どもが好きで先生になったのですけど、最近は子どものことを可愛いと思えなくなった。物は飛んでくるわ、黒板に死ねと書いてある」
 
「けれど、この学校には教師同士、お互い何でも語り合え、支え合える雰囲気があるのです。それで私も何とか続けられているんです」と言っています。
 
 管理職がリーダーシップを取って「弱音を吐ける職員室づくり」を進めていくことが一番大切です。
 
 弱音を吐けて、早めに他人に助けを求められることは教師に必要な能力です。
 
 教師には真面目で頑固な人が多い。融通が利かず、問題を一人で抱かえ込んでしまうことが多い。だから、教師の孤立化を防ぐのに大切なのが教師自身の意識改革です。
 
 クラスが荒れても別に恥ずかしいことではありません。親からクレームをつけられるのも特別なことではありません。
 
 これだけ難しい時代なだから、問題が起きるのも当たり前というぐらいの意識をもってほしいと思います。
 
 これからの教師に必要な能力として、弱音を吐けること、早めに他人に助けを求めることが求められます。
 
 溜めこんで、どうしようもなくなった時点でお願いしますと言われても、迷惑するだけです。
 
 理解のある管理職に出会うのは、簡単なことではありません。ではどうすればよいか。
 
 私は、教育相談やカウンセリングの勉強をしている教師が音頭をとって教師同士の支え合いの会をつくるとよいと、提言しています。
 
 有志の集まりですから、最初は数人しか来ないでしょう。しかし、月1回程度、開き続けることが大切です。
 
 成功のポイントは、司会者の教師自身が、自分のクラスでうまくいっていないことを話すのです。
 
 全員が自分の抱えている問題について語ります(1人5分程度)。絶対に批判はしない。
 
 あくまで温かい雰囲気を心がける。そして、一人ひとりの抱かえている問題について、4~6人で知恵を出し合いながら解決策を考えていくのです。
 
 その際、とりあえず、どうなりたいか(短期目標)、そのためにさしあたり何ができるのかを話し合うことです。
 
 少しでも解決のための糸口を手にすることができ「来てよかった」「元気が出たし、得をしたな」と思える会にすることです。
 
 教師同士でグチをこぼし合ったり、無駄話ができるような場所を確保しておくことです。
 
 利害関係のない相談相手を見つけるのもよいと思います。学校外での教師同士のネットワークも大切です。
 
 初任者研修などで知り合った仲間を大切にして、困ったことや悩みなどを打ち明けられる関係を保っておいてほしいと思います。
 
 授業づくりでも何でもいいから、同じ関心をもつ仲間と時々会っていろいろ話す機会をつくっておくようにしてほしいのです。
 
 そんな仲間こそ、何かつらいことがあったとき、最も信頼して相談できる相手だからです。しかも、利害関係のないことが大事。同じ学校に勤務していると、いくら気が合うといえ相談内容によってはばかられる場合があります。
(
諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、 明治大学文学部教授。「現場教師の作戦参謀」として、抽象的ではない実際に役立つアドバイスを先生方に与えている。悩める教師を支える会代表)

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