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荒れた小学校六年生の担任になったが、子どもたちの対人関係を向上させるには、どのようにすればよいのでしょうか

 五年生のときから、まとまりがなく、騒がしくて、指示が通らないというクラスの担任になりました。
 まだ、新学期の四月早々なのですが、想像以上に大変な学級だとの印象を持ちました。
 身体に障害のある子どもや、能力に偏りのある子どもなど、個別に配慮しなければならない子が数名います。
 けれども、その子どもたちを支える雰囲気は学級にはなく、力のある男子三名が周囲の子どもたちを威圧して、些細なことでぶつかりあっています。
 女子は、二、三人の小さな仲よしグループに細かく分かれて、仲間はずれがあるようです。授業を成り立たせるのも一苦労です。
 四月の段階ですから、子どもたちは私の様子を見ています。「ここしばらくが勝負」という感じがします。
 学級を立て直し、子どもたちの対人関係を向上させるには、どのようにすればよいのでしょうか。
 特に荒れている学級を引き継ぐ場合、子どもたちは教師と対峙し、反発して教師と相いれない存在と考えがちです。
 ですが、子どもたちの中にある、緊張感や不安の背景にある「よくなりたい」という願いに注目したいのです。
 まず、学級の個々の子どもが「自分はどうなりたい」と感じ「仲間や先生にどのようにあってほしい」と願っているのかを考えます。
 たとえば、力で威圧して、他の子を従えようとしている子は、どのようになりたいと考えてそれを行っているのでしょうか。
 そのことで、仲間や先生からどのように扱ってほしいのでしょうか。その行動の背景にある願い、たとえば「みんなに注目をされたい」に注目します。
 それを感じとりながら、その願いを建設的に生かしていく方向を探るのです。感じとったことを、そのままその子に語ってもよいでしょう。
 個々の子どもたちの中の願いを探るために、さまざまなチャンネルを使うようにします。授業の終わりに、ちょっとした自由記述式のアンケートをとるのも一つの方法です。
 たとえば「学級会をもっと楽しくするには」とか「友だちから、もらいたい元気になる言葉」で、アンケートをとるのです。
 その結果を、学級通信などで全員に知らせてもよいでしょう。個人が何を願い、何を感じているのか、コミュニケーションの場をつくり、そこで意見が交換されるようにするのです。
 また、学級ですから、さまざまな不快なことも起きるでしょう。
 小さなけんかやトラブルが起きたときに、どちらが正しいのではなく
「どのようにすれば、けんかが起きなかったか」
「どうすれば、こじれた関係が修復できるのか」
を学ぶ機会として考えます。対人関係の結び方を学ぶチャンスと考えるのです。
 時間があれば、けんかをした者同士を反対の立場に立たせて、もう一度スローの録画のように再現してもらってもよいでしょう。
「どこで、どのように言えば、お互いが傷つくことなくいられたのか」
を考えながら、何度か再現してみます。
 お互いが自分のふるまいに一点でも気がつけば、それでよしとするのです。
 このことを通して、学級という対人関係場面を楽しむ方法を具体的に教えるのです。
 また、お互いを知り合うために、子どもたちが楽しめるイベントを多く企画します。学級を楽しくします。
 新学期の始めですから、お互いが相手について知る機会を多く設けるとよいと思います。
 現代の子どもたちは、表面上だけを他者に合わせる傾向があります。集団は仲間に気をつかう煩わしい場になってきています。
 お互いがどのように感じ、考えているのかを出し合い、近づけるような機会を多くもつことが必要だと思います。
 自分とはどのような人なのか相手に語り、相手から受けとってもらう、構成的グループエンカウンターの手法がさまざまに活用できるかもしれません。
 学級活動の中などで人間関係の安心感を演出するようなさまざまなゲームを試みるとよいでしょう。
 あるいは、特定の能力がある子が活躍できるものではなく、意外性やハプニングの起きやすいイベントが、よいでしょう。
 授業でも討論の時間を多く導入するのもよいと思います。楽しく快適な体験となるように工夫することが大切です。
 クラス内の小さな仲よし集団の中でリーダー格になっているような子をクラスに参画してもらうように働きかけ、仲よし集団を互いに結び合わせていくこともできるように思います。
 一緒に生活する者として、その場を楽しく過ごせるように工夫すること、そして、お互いが適切なコミュニケーションができる機会を増やすようにします。
 それを通して、子どもの対人関係を結ぶ力を向上させていくと、学級のまとまりをつくり出していくことになると思います。
(
小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)

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