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子どもたちとの関係づくりのために、子どもとどう対話すればよいか

 教師の仕事は話すことではなく、聞くことが基本だと私は思っています。
 子どもから話を聞くときの基本は
(1)
黙って聞く
 子どもの話は、何をどう言いたいのかわかりにくい。そのために教師が口をはさみ、代弁してしまうことがあります。
 まずは、うなずき、オーム返しなどで、子どもの話をつないでいくようにします。
(2)
話につじつまが合わないことがあっても、その是非を途中で問わない
 子どもの話の内容に変なところがあっても、正さないで、じっくりと聞いてあげる。
(3)
子どもの感情を受け入れてあげる
 特に小学校低学年では大事です。
「ボールをぶつけられた」とき、「大変だったね」「痛かったね」「大丈夫か? 強いね」
と、いうふうに、感情を受け入れてあげれば、低学年の場合、問題の8割は解決します。
 先生に受け入れてもらえたということで、心が満足するのです。
 子どもはよく石を拾ってきます。
「先生、きれいな石だよ!」と言ってきたとき、子どもにきちんと顔を向けて「きれいな石だね」と、感情を受けとめてあげる。
(4)
教師と子どもの思いが違うときは、教師の「私メッセージ」を子どもに伝える
 あるとき、A男が「ウルセエ!」と言って、B子に向かって靴を投げつけ、机を倒して大泣きしました。
 A男がクールダウンしてから「さっきは、どうしたんだ?」と聞くと
「B子は、いつもオレばっかり注意する。いっつもオレばっかりなんだ!」と
 しかし、A男は奇声を発したり、人とのコミュニケーションがうまくとれない。
 もし、教師がA男に「A男だって、これこれこうだろ」と言えば、それ以上は話さないに、ちがいない。
 私は、次のように言いました。
「それは、つらかったなあ。A男、一人だけ注意されたら、つらいよなあ」
と、話の是非を問わず、まず、つらかった思いを聞いてあげる。
 つらかった思いに共感してもらえた安心感がA男の心を開いてくれました。
 そこで、私はA男に
「じゃあ、A男はどうしたいの」
「どうしたらいいと思う?」
と、聞いた。
 すると、A男は、初めて自分から「B子に謝ってくる」と言うのです。
 私は「そう、自分から謝るんだ。えらいね」とA男の自己決定を励ましてあげました。
 教師の思いと子どもの思いが違うときは
「どうしたの?」
「どうしたかったの?」
と、まず話を聞いてあげて、共感する。
「大変だったね」と、いうふうに感情を受け入れてあげると子どもの心が満足する。
子どもは、共感してもらうと、安心感で心を開いてくれる。
そして、その後、教師が
「先生は〇〇してほしいと思っているよ」
「先生は〇〇と考えるよ」
と、教師からの「私メッセージ」を伝えます。
そして、子どもに
「どうしたいの?」
「どうするの?」
と、最後の決定は本人にさせる。
こういう対話が教師に求められているのではないかと思うのです。  
(5)
子どもが感情的になっていると思ったときは、子どもがクールダウンしてから話を聞くようにする
 教師も自分が感情的になっているなあと思ったときには、子どもとの対話や、指導はできるだけ避けるべきです。
2 子どもとの個人面談
 面接週間を設け、1日に2人か3人くらい私と一対一で面談します。「どう? 最近おもしろいことない?」と、たわいのないやりとりですが、子どもは面談した後、とても落ち着きます。
 子ども一人ひとりと教師が相対することで、子どもに先生を独占できたという満足感や安心感を与え、教師への信頼感を育てていきます。
3 交換ノート
 小学校高学年になると、子どもはなかなか自分の内面を出さないし、しゃべらなくなります。実際には悩んでいたりするので、教師とノートを交換します。
 ノートを一人一冊もたせ、クラスを半分に分け、交互に提出させます。子どもが書いたことは絶対他人には漏らさない、教師が全員にひと言、コメントをつけて返す、というものです。
 毎日コメントを書き続けることは大変ですが、その積み重ねが子どもたちとの太いパイプになってつながっていくのです。
(
斎藤 修:1953年福島県生まれ、元千葉県公立小学校教師、全国生活指導研究協議会常任委員)

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