子どもが問題を起こし注意するたびに、教師と子どもとの関係が悪くなる、どうすれば子どもが問題を起こしても関係がよくなるようになるか
学校では、子どもたちが、いろんな問題を起こします。
問題が起きるのは当たり前のことなのですが、私たち教師は、つい
「あ~ぁ、また、あいつか!」
などという態度で、問題を起こした生徒に対応しています。若い頃の私も、そんな教師のひとりでした。
教師が「また、お前か」という対応の場合は、たいてい生徒も、いやな感情を抱きつつ、教師と向き合うことになります。
そんな教師の態度に子どもたちが反感を抱いて、子どもたちとの関係が最悪になってしまうことがあるのです。
私はある時、生徒との関係が毎年ギクシャクしてしまう若い同僚教師から相談を受けたときがありました。
「私だって、生徒に嫌われたくないんですよ。だから、今年こそは、うまくやりたいと思っていても、生徒がいろいろ問題を起こしてしまうので、そのたび注意することになる」
「すると、そのたびに生徒との関係がどんどん悪くなっていくんですよ」
「だから、生徒が問題を起こすたびに、ドキッとしてしまうんです。どうすりゃいいのかなーってね」
これを聞いて、私は「生徒が問題を起こすたびに生徒との関係が悪くなって、悩んでいる教師がいっぱいいるんだ」と思いいたったのです。
どうすれば、生徒と「いい感じ」で対応できるのでしょうか。
私は、問題を起こした生徒に向かって
「あれっ、どうしたのよ。きみとしたことが?」
「なんか、よっぽどのことがあったんでしょう」
と、声がかけられる時は、いい感じで対応できるときなんです。
こんな声かけが言えた場合は、生徒も
「そうなんだよ、先生。おれ、頭にきたんだよ。だって、・・・・・」
などと、話はじめてくれたりするのです。心を開いてくれる感じでね。
そうなったら、うれしいですね。後は
「そうか、それは頭にくるよね」
などと、同情すべきところは同情する。
反省してほしいところは、
「でもねー。この点は、まずかったよね」
と反省してもらう。そして、
「この先、どうしようか?」
と。一緒に考える。
つまり「良き相談相手」の立場に立てるわけです。
子どもたちにしても、
「あー、まずいことしちゃった。困ったことになったなー」
と困惑しているはずですから、こんな時、大人の相談相手の出現はうれしいことなのです。
「あれっ、どうしのよ。きみとしたことが?」と言うセリフは、言いづらいですよね。
たとえ、言えたとしても、生徒に教師の心を見透かされ「見え透いたオセジ」になってしまう危険がいっばいです。
そこで、やはりふだんから、お互い相手を認められる関係でいられるかどうかということが大切になるのです。私が心から言えたのは教師になって3年目でした。
心から話かけられるようになるには、どうしたらいいのでしょうか。
友だち同士だったら言えますよね。
私の場合「今、生徒といい関係だな」と実感をもてるときは、私と生徒が心から授業を楽しめているときなんです。
「へぇ、こう考えるといいんだ。新しい世界が見えてきて、うれしいな」
「みんなで学び合うって、すごくたのしいな」
「あいつ、やるじゃない。見直した」
「私の、予想どおり、私ってすごいのかも」
こんな感じで、教師と生徒が
「授業のたのしさ」
「自分のすばらしさ」
「他人のすばらしさ」
の発見の喜びを共有し合える。
そんな授業を1時間でも多く体験できるといいな、思っているのです。
私の場合、それが仮説実験授業で実現できているのです。
(小原茂巳:東京都公立中学校教師を経て明星大学教授)
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