学級づくりのために、5~6月にするとよいこととは何か
新学期に入り、5~6月になると、気心が知れた仲間が増え、当番・係やルール・マナーが定着し始めます。
そこで、多様なグループ活動を通して、みんなと協力することの楽しさを感じさせ、仲間とかかわる意欲を引き出すようにするとよい。そのためには
1 グループを排他的にさせない人間関係づくり
グループの結束を固めるために、秘密を持ったり、共通の敵をつくったりする時期です。
放っておくと、グループ同士が対立し、学級の雰囲気がギスギスし始める。
そこで、多様な相手と協力する活動や、認め合う活動を行い、人間関係を広げ、目的に応じて自在にグループづくりができる集団にする。
具体的には、すべて生活班で活動するのではなく、教科や課題によって異なるメンバーで協力する経験をさせ、その都度、認め合いを行う。
2 係・当番活動でのなれあいをチェック
活動のやり方を理解し、自分の責任を果たすことが習慣化すると同時に、ゴールデンウィークで気がゆるみ、なれあいも生じやすい時期である。
同じ子どもが怠ける、分担を無視して楽な仕事をやろうとする、仕事がいいかげんになるなどの問題が表れてくる。そこで、
(1)教師が、子どもたちの活動を少し離れた位置から見守り、最初のルール破りを見逃さない。
(2)経緯を全体に説明し、あたりまえの責任を果たす大切さを考えさせる
3 行事を活用して全員が認められる場をつくる
春の運動会、社会科見学、遠足、移動教室などの行事は、学習面では成果を出せない子どもを認めるチャンスである。
特別な成果だけでなく、与えられた仕事や役目を普通にやりとげた努力に目を向け、子ども同士の認め合いを工夫する。
行事の後やグループを解散する前に、つぎの「いいとこ四面鏡」のワークシートを利用して、いいところを探し全員を認める機会をつくるとよい。
具体的には、
(1)4~6人のグループになり、ワークシートに自分の名前を記入する。
(2)グループでワークシートを回し合い、メンバー一人ひとりについて、該当する項目に〇を3つつける。ワークシートに記載されている項目の例は、
「進んで自分の仕事をしていた」
「最後まであきらめず行動した」
「楽しみながら活動していた」
「みんなのことを考え気配りをしていた」
「みんなをまとめようとしていた」
「楽しい雰囲気をつくろうとしていた」
「自分の意見を伝えようとしていた」
「困っている人を助けようとしていた」
「かたづけや整頓をがんばっていた」
「苦手なことにもチャレンジしていた」
等、20項目。
(3)自分のワークシートを見て感じたことを伝え合う
4 子ども同士のトラブルを活用する
人間関係が広がれば、子ども同士のトラブルも起こってくる。それがいけないのではない。むしろ人間理解のチャンスである。
子どもたちによる問題解決力を育てるには、つぎの対応をするとよい。
(1)教師が質問をして「当事者の気持ちと行動」と「周囲の気持ちと行動」を関係づける橋渡し行う。
(2)さらに学級全体に返して、対人関係のマナーやルールを理解させる。
5 適度な息抜きでリラックスする
新学期から緊張が続き、疲れが出始めたり、マンネリ感を感じる時期でもある。
なれあいや、怠けに発展しないように、みんなが楽しめるような息抜きが必要である。
「さあ、夏休みまで後、1か月、がんばるぞ」という気持ちの切り替えができるようなものがよい。
例えば「グループ対抗のゲーム」「スポーツ大会」「学年合同のイベント」を行う。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)
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