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子どもの話を最後まで聴くだけでなく、助言・指示・支持・説得の技術を使いこなさないと教育はできない

「情熱だけでは教師はつとまらない」というのが私の持論である。教師になりたくて教師になったのに、子どもたちは、笛吹けど踊らずという毎日が続くと、自信喪失に陥り、自分は教師不適格者だと思い込み、教職を去る人がいる。
 その人の人格や性格に問題のある場合もあるが、教育の技術が見つからなくて絶望する人も少なくない。
 教師と子どもの関係づくりは、子どもの話を最後まで傾聴するという受け身的な技術だけでなく「助言」や「指示」や「支持」、「説得」など、能動的技術を使いこなさないと、教育はできないと思っている。
 子どもの話を聞き、状況に応じて是々非々を明示したり、どうすべきかを指示したり、教師が自分の考えや感情を開示しなければならないことが少なくない。
 教師がなじんでおいたほうがよいと思われる技術は
1 かかわり行動
 教師が「私はあなたに関心・好意を持っている」ということを、子どもに伝える技術である。ねらいは、教師と子どもとの関係づくりである。例えば、
(1)
笑顔でうなずきながら、子どもの話を聴く。子どもに視線を合わせて会話する。聞き取りやすい声で話す。
(2)
子どもを呼びつけないで、自分の方から近づいていく。子どもたちと一緒に遊んだりする。子どもと廊下ですれちがうとき声をかける。
2 質問する
「学校はおもしろい?」などと質問するのは、教師と子どもとの関係づくりと、子どもを理解することが目的である。
 教師が何も質問しないと「この先生は、私に関心がない」と子どもが誤解することもある。人は誰でも関心をもたれていると感じるのは快いものである。
3 はげまし
 子どもは「何を話しても聴いてもらえる」と感じると「この先生は私の見方である」という信頼感が生まれる。それには、子どもと会話しているときに、
1 )
受容
「なるほど」などとあいづちをうつ。
2 )
うながし
「それで?」「たとえば?」と、話を促進する合いの手を入れる。
3 )
繰り返し
 話の中のキーワードを繰り返す。
4 )
言い換え
「~ということ?」と確認する技術のことである。
 子どもは「わかってもらえた」という感じがするから、教師への信頼感が高まるし、子ども自身の自己理解につながっていく。言い換えの種類は、
(1)
事実
例「仲間はずれにされたわけだね」
(2)
感情
例「悲しいわけね」
(3)
意味
例「何も悪いことをしていないのに、仲間はずれにされたので悲しいのね」
(4)
三種類の応答技法を使って会話する
 子どもは事実ばかり語ることがあるので、
「それについて、どう思っているの?」と質問し
「どちらの味方にもなれないのね」と意味への応答し
「どうしてよいか困っているのね」と感情に応える
ようにするとよい。
 こういうふうに、3種類の応答技法を使って会話すると、子どもは自分の状況がよく見えてくる。つまり心が整理されてくるので、
「先生と話していると気持ちがすっきりしてくる」
と言うようになる。
5 )
意識化
 子どもがうすうす気づいていることを、先手をうって言葉にする技術である。明確化ともいう。
 子どもに「自分が取り組むべき問題が何かを理解させる」のが目的である。
 子どもの立場に教師が自分を置いてみて、自分ならどう感じる(考える)だろうかと、ふり返ればだいたいの見当はつく。
 例えば、ぶすっとしている子どもがいれば「何か機嫌が悪そうだが・・・・」と。
 教師自身に、いろんな感情体験のない教師は察しが悪くなる。いろんな苦労を乗り越えておかないと、コンプレックスになるから、この技術を素直には使えないと思われる。
 すなわち自己嫌悪の人は他者嫌悪になりがちだからである。
6 )
手ほどき(助言・指示・フィードバック)
 援助の手をさしのべないと、子どもにすれば、どうしてよいかわからないことがある。
「助言・指示・フィードバック」をするときの留意点は、具体的であること。具体的でないと実行しにくいからである。
7 )
支持
 支持とは、子どもの思考・感情・行動を認める言動のことである。例えば「なかなかよい考え方だ」「よくできるじゃないか」などである。
 ねらいは、子どもに自信をもたせることにある。
「私に何かしてほしいことはないか?」「私にできることが何かないかなあ」と行動をともなう支持をすることもよい。
 気をつけなければいけないことは、
(1)
無理に支持しようとすると、お世辞にひびくことがある。
(2)
支持する根拠をもつことである。根拠がないと、単なる気休めになる。
4 説得
子どもの話しを聞くだけでは問題が解けないことがある。
説得して考え方や行動の仕方や、場合によっては感じ方まで変えることが求められることがある。
 子どもに抵抗されないよう、どう説得すればよいのでしょうか。
 説得する場合「子どもがどうなることを欲しているのか」をつかむ必要がある。そのためには、子どもの話をよく聞くことである。
 説得するためには、教師と子どもとの間に、よい人間関係をつくらなければならない。
 人間関係をつくるには
「この先生は、私の味方である。私のためを思ってくれる人である」
と、子どもが感じるような、相手の身になって話を聞くことである。 
 説得が抽象的だと行動にはつながらない。具体的で、小刻みに指示するとよい。
(
國分康孝:1930年大阪府生まれ、 東京理科大学教授、 筑波大学教授、東京成徳大学副学長などを歴任。日本カウンセリング学会会長、日本産業カウンセラー協会副会長などを歴任し、日本教育カウンセラー協会会長。構成的グループエンカウンターを開発した)

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