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保護者の思い通りにならないと、連絡帳や電話、保護者会で不満を述べる保護者がいる、どう対応すればよいでしょうか

 保護者の視線がわが子に向くのは保護者として自然なことだろうと思いますが、自分の思い通りにならないと、あれこれと不満を言いたてる保護者がいます。
 保護者と教師の信頼関係が強ければ、こうした問題は生じることも少ないと思われますが、つぎのような対処を考えるといいでしょう。
1 連絡帳に書かれた場合、内容によって、連絡帳で返事をするか、会って話をするかは慎重に考えましょう。返事の仕方で、またまた誤解を生みやすいからです。
2 電話についても同様で、用件によっては、電話で話すか、後日会うかを即断しなければ、対処を誤ります。
3 校長に話が持ち込まれた時は、校長に、事の経過と状況を率直に話さないと、校長が判断を誤りますので、くれぐれも気をつけます。
「嫌な報告ほど早く、良い報告は後で」「私情を混じえず事実を報告」が、こうした際の鉄則です。
4 保護者と話をする場合
(1)
保護者と話をする際は、緊張した表情で、構えた姿を見せないことです。相手の話を聞きとろうとする受容的な姿勢と謙虚さが基本です。
(2)
相手の言い分をよく聞きとり、その後に、こちらの真意をわかってもらえるように話す。
(3)
感情的に対処したり、紋切り型の話し方をしたりしないようにする。
(4)
相手の誤解を解くように努めると同時に、自らのミスは素直に認める態度が必要である。
(5)
「言葉じり」をとらえた話になってしまわないよう、言葉を選んで対応する。
(6)
話の内容によっては、学年主任や教頭に立ち会ってもらい、後日、問題が残らないようにする。
 最近は、保護者会で保護者からいろいろと意見が出るようになりました。担任の話や提言についても、質問したり反論したりする保護者もいます。
 保護者の意見や質問が続くと、教師が面くらってしまったり、非協力だなどと思ったりします。
 そうしたことに不慣れな教師もいるでしょう。
「このごろは、面倒になった」「最近は煩わしくなった」
と不満を語るより、保護者と協力して、力を合わせるには、どうしたらいいかを考え、それを実践することです。
 保護者会で、あれこれ意見が出たり、注文がついたりしたら、どうすればよいのでしょうか。次のように対応するとよいでしょう。
(1)
教師は困った表情、怒った表情、不快な表情を見せないようにする。
(2)
相手の言っていることを、的確に聞きとるようにする。
(3)
保護者の意見に対しては、穏やかな言葉で回答(反論)し、切り捨てるような態度をとらない。
(4)
保護者の誤解は、わかりやすく説明し、それを解くようにして、協力の雰囲気を醸成する。
(5)
保護者の意見で、もっともなことは、取り入れていくようにする。いつもそうした態度を示す。
(6)
学校として検討・対応する必要のあることは、直ちに校長に報告する。
 保護者会で、教師が説明したり回答する際に、どのように話すか、話し方の工夫はとても大事なことです。例えば、
1 具体的な事例を用いながら話す
 具体的な事例を用いながら話すと、聞き手の理解は容易だし、よくわかります。
 しかし、気をつけなければならないことは、聞き手は話の中に登場した具体例にこだわって、視野を広げてとらえることがしにくくなりがちなことです。
一般論を中心に話を展開する
 視界が広がるし、問題の所在がどこかなどに、気づくこともできることは確かです。
 しかし、話が抽象的になりがちなので、具体的な事柄が、聞き手はなかなか把握しにくいこともあります。
 難しい話を聞かされたと感じることもあります。したがって一般論で話を通すことは避けた方がよさそうです。
3 具体的な事例と一般論を併用するとよい
 話をする内容は、具体的な事例と一般論が組み込まれているのがよいのです。次のような順序で話が進むと聞きやすいし、理解も容易です。
(1)
具体的な事例が登場して、こうした問題があるから、何を考えたらよいか気づいてもらう。
(2)
具体的な事例の話から、自分や身近にそうしたことがあるか、どうかを考えてもらう。
(3)
そこで、一般論が示されて、なぜこうしたことがおきるか、どうしてかなどを考えてもらう。
(4)
一般論と具体的な事例を重ねながら、どんなことに気をつける必要がありそうかを知ってもらう。
(5)
話の内容から、学校と家庭が力をあわせることの大事さをあらためて考えてもらう。
 話し方が訓示調では、聞き手の反発をかうことがあます。くだけた話し方だと、説得力に欠けます。
 教師の話し方は、きちんとし、だらだらと長びかない話がよさそうです。それが、信頼感を得る根源かなとも思います。
(
飯田 稔:1933年生まれ。千葉大学附属小学校に28年勤務、同校副校長、千葉県浦安市立小学校校長を経て、千葉経済大学短期大学部名誉教授。学校現場の実践に根ざしたアドバイスには説得力がある)

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