授業態度が悪い、提出物を出さない、時間を守れないなどの子どもの乱れを教師が保護者に伝えるとき、不信感を持たれないようにするには、どうすればよいか
授業態度が悪い、提出物を出さない、時間を守れないなど、生活態度の乱れが気になる子どもがいます。
自己肯定感が低い、授業についていけない、正しい生活習慣が身についてないなどの問題が考えられます。
教師が子どもの悪い面を一方的に保護者に説明し、原因が家庭にあると考え、家庭で指導を要請する形にならないようにくれぐれも注意します。
教師から、わが子の生活態度の乱れを知らされると、保護者はわが子が教師から嫌われているのではないかとか、乱れの原因は保護者にあると言われているように感じて、教師に不信感を持つようになります。
保護者は子どもの問題を素直に受け止められなくなってしまいます。
さらに、わが子の生活態度の乱れを、教師の授業や指導に原因があると考え、その力量に疑問を持つようになります。
では、教師は保護者にどう対応すればよいのでしょうか。
子どもの生活態度が乱れる原因はたくさんあります。
子ども自身、家庭、友だち関係、教師の指導や関わり方など、多くの問題が複雑に絡み合っています。
原因の追究だけで話し合いを終わらせることなく、具体的な対応策を提示し、優先順位をつけて
「まず、これから一緒にやっていきましょう」
と、明確に示すことができると、有意義な話し合いになっていきます。
具体的には、
(1)子どもの生活態度の乱れの事実を保護者に客観的に報告し、家庭でのようすを聞く
学校で実際に起こっている事実をいくつかに絞って伝え、家庭でのようすを聞き取ります。
(2)教師は「子ども自身が困っている」という視点で保護者に話す
例えば
「授業中、集中できず、立ち歩いたりするので、学習がわからなくなっているのではないか」
「宿題などの提出物が出ておらず、やり方がわからないのではないか」
など、困っているのは子ども自身であるという視点で話をし、教師が心配していることを保護者に伝えます。
(3)今後の指導方針を展望し、家庭での配慮を引き出す
例えば、教師が
「授業中、〇〇くんができていることに声をかけるようにします」
「宿題を学校で1,2問、一緒に解いてから帰すようにします」
など、教師ができることを提示し、
「ご家庭でも一緒に取り組んでもらえるとありがたいです」
と、保護者の協力をうながすようにします。
問題の解決に向けて教師と保護者が一緒になって取り組んでいくという姿勢を見せることが大切です。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭・教育相談員を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)
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