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学級の子どもたちの「もつれた糸」を、どのようにすればときほぐすことができるでしょうか

 担任Sのクラスの女生徒Aさんが9月中旬になっても学校を休み続けている。理由は「親しかった友だち3人とのトラブルで、クラスのみんなから無視され耐えられないから」ということだった。
 担任がAさんの家に電話すると、母親は「クラス中が無視するなんて、ひどすぎます。子どもと話し合った結果、転校した方がいいということになった」と話し、家庭訪問も断られた。
 若い担任Sは困って、学年会で知恵を借りたいと言ってきた。学年主任の私は次のことを提案し了承された。
(1)
すぐに転校と、あせって結論をださないように、少し待ってもらうこと。
(2)
「一方的ないじめ」ととらえずに、両者の誤解にもとづくものとしてとらえ、もつれた糸をときほぐすのが、私たち教師の仕事と考えること
(3)
事実関係を3人の女の子から慎重に聞くこと。
 担任はAさんとトラブルがあった3人の女の子たちから事情を聞いた。すると「ぜんぜんそんなことはしていない。直接本人と会って話がしたい」ということだった。
 誤解があるということがわかったので、誤解をとくという方法だと、明るい見通しが持てるようになる。
 でも、誤解を解くにはAさんに学校に来てもらわなければならない。担任に電話してもらったが「子どもの気持ちが整理できていないので」と断られてしまった。
 私は困ったときには、子どもたちに聞いてみるようにしています。私のクラスの女子グループに聞いてみた。
 すると、Aさんのことが心配でAさんの家に行って話をしてきたそうで、内容は
「イジメがあったみたいなんだけど、私も経験あるから、そんなことでくじけちゃだめよとはげましたら、転校って、だんだん言わなくなってきた」ということです。
 その後も説得を続けてくれた。おかげで数日後には、Aさんは校門のところまで来て担任と話ができるようになった。
 担任は最後のチャンスと思い、長時間Aさんと話し合い、翌日に対立関係のある3人の女の子たちと話し合いができるようになりました。
 私は両者とよい関係にあったので、話し合いに立ち会いました。私ははじめにつぎのように宣言しました。
(1)
この話し合いは、両者とも明日から気持ちよく学校に来てもらうために開いた。
(2)
私は両者の言いたいことと事実をひとつずつ整理し、誤解があるなら、それを解くためにいる。だからどちらの味方にもならない。
(3)
ここでは「自分の出会った事実」が優先し「人から伝え聞いた話」は信用度が低いと考える。
(4)
自分が誤解していたり「悪かったな」と素直に思えたときは「ごめめんなさい」を言ってほしい。
 こうして、事実の一つひとつについて確認し、そのときの自分の真意を言ってもらうと、3人の女の子たちは知らないうちにAさんをキズつけることを言っていた。
 一方、いじめられたというAさんも、自分の思い込みや、他人のうわさをそのまま信じていたことがわかってきた。
 一つずつ解決していったが、両者は「なかよくなれそうにもない」という答えが返ってきた。私は
「そういうのを相性が悪いって言うだよね。大人の世界でもよくあることだよ」
「じゃあ、これからは事務的なことはしかたがないけど、それ以外は関係ないでやってください」
「この学年には170人もいますから、明日からは、それぞれに『仲の良い友だち』をつくってください」
「ただ、関係ないとはいっても、またいつか仲良くなる可能性も残しておいてね」
 あれから1か月、Aさんには新しい友だちができ、元気に学校に来ている。一方、3人の女の子たちにも笑顔がもどった。
 Aさんのお母さんが参観日に私のところまで来て「何とお礼をいったらいいか」と涙を流していた。私は「よかったですね」と言った。
(
山路敏英:元東京都公立中学校教師、明星大学の講師
)

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