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一人も見捨てられない「学び合いの授業」をするには、どうすればよいか

「学び合い」とは、一人も見捨てられない教育の考え方です。そのために、次の考え方を共有します。
(1)
子どもたちは有能である。
(2)
教師の仕事は目標の設定、評価、環境の整備をおこなう。
(3)
学習は子どもたちに任せる。
(4)
学校は多様な子どもたちと折り合いをつけて学び、目標の達成を経験する場である。
「学び合い」授業は、目標を示して、子どもたちに任せて、評価して、振り返りをします。
 例として、小学校2年生の「学び合い」の授業の展開はつぎのようになります。
(1)
授業の最初に、子どもたちに対して目標(課題、めあて)を示す。
教師「今日の課題は、全員の子どもたちができる〇〇です」
(2)
教師「はい、ぞうぞ」と、子どもたちに活動を任せる。
(3)
教師は子どもたちに任せたら、じゃまはない。すると、子どもたちは一緒に考え出す。
(4)
子どもたちは、あちこちで自由に説明し合う。 
(5)
教師は、残り時間がどのくらいあるのかを子どもたちに知らせる。
教師「あと、3分です。まだ分からないという、お友だちいないかなあ」
 みんなができているかどうかが大切です。
(6)
振り返りをする
 みんなが目標を達成したかどうかを、みんなで確認して、振り返りをする。
「学び合い」は、30年後の未来に生きる子どもたちを一人も見捨てられない共生社会を実現できる人として育てる教育です。
 それは言い換えると教師自身「〇〇しなさい」の文化から「考えなさい」の文化の構築への転換を求めている考え方の教育であるとも言えます。
 それは「子どもたちの有能な力を信じ」て、判断と決定、そして実行を「子どもたちに任せる」という「学び合い」の考え方と、教師自身の「ぶれない考え」と「一貫した本気」に支えられることになります。
 教師が何とかしようと思っている限り、状況はあまり変化しません。
 教師には限界があるので、子どもたちの力を信じて任せてみようと、発想を変えたとたんに、状況は劇的に改善します。それが「学び合い」です。
 学級づくりが基礎となって教科指導が行われるだけに、学級づくりがしっかりしていないことには、なかなか一人も見捨てない教育が花開きません。
 学級の持つ文化がそうでない場合には時間がかかります。
 そのときには「みんなが目標を達成するには、どうしたらよいのだろうか、みんなで話し合ってみよう」という働きかけを繰り返します。
 子どもたち自身による、子どもたちのためのサポートと、みんなができる学びを醸成していくことが必要です。
 学級づくりによって、一人も見捨てられない文化が構築されているクラスですと、爆発的でミラクルな子どもたちが展開されます。
 短期間で効果を期待する場合、異学年の「学び合い」がお薦めです。
(
三崎 隆:1958年新潟県生まれ、信州大学教授。専門は臨床教育学。一人も見捨てない教育の実現をめざしている
)

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