教師を攻撃する方法から見た、モンスター・ペアレントのタイプとその対応
学校現場をかき回し、教師をおびやかし、消耗させていくモンスター・ペアレントは教師を最も悩ませる存在となりました。
激しい罵声を浴びた教師は心を病みます。その破壊力はまさに怪物そのものです。
行動面とくにエネルギーの出し方から見たモンスター・ペアレントのタイプとその対応方法は
(1)突発型
モンスター・ペアレントが話をしているうちに、怒りがこみ上げてきて爆発し、会話がまったく成り立たなくなるタイプです。
自分で感情を制御できなくなっていると、教師がいくら論理立てて説明したり、説得しようとしたりしても効果がないので、熱が冷めるのを待つことが優先されます。
(2)粘着型
モンスター・ペアレントが執拗に教師と接触を図り、ねちねちと同じ話を繰り返してくるタイプです。
一度、話を聞いて納得しても、再び不安が襲ってきて、電話をかけてしまうバターンが少なくありません。
邪険にすることは避けねばなりません。ただし、教師の都合を考えられなくなっているので、対話する時間を区切ったり、同僚教師に対応の協力を頼んだりするなど、教師が自分の仕事やペースを乱されないようにする必要があります。
(3)怒り放出型
言いたいこと、怒りたいことをため込み、エネルギーを満タンにしてくるタイプです。
電話口でいきなり怒鳴り始めたり、突然、乗り込んできて、まくし立てる場合が少なくありません。
モンスター・ペアレントが最大のパワーの状態では、対話も成り立ちませんから、まずはモンスター・ペアレントのエネルギーを放出させます。
タイミングを見計らって切り返すことが必要です。
何時間でも平気で話し続けるモンスター・ペアレントがいますが、必ず息継ぎをする瞬間があります。そのときに、やや強い言葉を発することで、相手の勢いを止められる場合もあります。
(4)怒り循環型
怒っているときと、そうでないときが交互にあらわれるタイプです。
常に怒りをぶつけ続けているわけではなく、ふだんどおりに会話できることもあるので、話を理解してくれているのかなと思ってしまう。
しかし、怒りのモードになると、すべてを忘れてしまったかのような言動を繰り返すので、受け止める教師側は、エネルギーを消耗してしまいます。
教師はどの段階で話を締めくくりにするかを見極めながら接する必要があります。
(5)無言型
黙ったまま居座り続けたり、対話の途中で困った状況になると何も言わなくなってしまったりするタイプです。
あまりに長時間にわたって居座り続ける場合は、仕事に支障をきたすことにもなるので、警察など外部の力を借りることになりますが、まずは、相手が反応する言葉を質問によって引き出すことに努めましょう。
ひとつだけの特色だけが前面に出ているモンスター・ペアレントもいれば、二つ以上のモンスター・ペアレントもいます。こうしたタイプにあてはまらない相手もいます。
モンスター・ペアレントを決めつけてはいけません。あくまでも、一人ひとりの状態を把握し、冷静に接するための第一段階をクリアできたと考えることが大切です。
(本間正人:1959年生まれ、ミネソタ州政府貿易局日本室長、松下政経塾研究主担当等を経て京都造形芸術大学教授。学習学協会代表理事、学習学の提唱者)
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