教師の「話す力」とは、どのような力でしょうか、そのポイントとは
話す力とは、いったいどのような力でしょうか。
話す力とは「話す内容+声+態度」×「相手への思いやり」です。
1 話す内容
話の内容は、事前に準備することができます。十分な準備を心がけるだけでも話す力が伸びます。
よい話の条件は
(1)わかりやすい
(2)ためになる
(3)ユーモアがある
(4)結論が先にきている
(5) 話の最初に「番号」や「見出し」をつけて、しっかりと伝わるように整理して話す
ア「第1に、第2に、第3に…」とポイントを絞って話す(ナンバリング)
複数のことを伝える時には、冒頭に数字を示すとよい。それによって話の中身を整理することができる。
例えば、
「先生が話すのは3つです。1つめは、~。2つめは、~。3つめは、~。以上3つがポイントです」
話す数だけでなく、その順番も考えておくといい。また、話す数は3つ程度がよい。
イ 話に見出しをつける(ラベリング)
話に見出しをつけ、何を話すのかを聞き手の子どもに伝えるのも1つの方法である。
話に見出しをつけると、話の予告をすることにもなる。例えば、
「1つめは、○○○○ということです。(説明)
「2つめは、△△△△ということです。(説明)
こうすることによって、子どもたちは教師が今、何の話をしているかがわかり、安心して聞くことができるようになる。
2 声
声の大きさだけの問題ではありません。同じ内容の話でも、ボソボソと話すのと、ハキハキ話すのとでは、伝わり方が全く違います。
声の高さは、無理なく出せる高さがいいでしょう。ふだん話している声の高さがいい高さです。
母音(あ・い・う・え・お)の発音に気をつけながら壁に向かって声を出します。例えば「アー」と長く発音した方が、壁から跳ね返ってくる自分の声が聞き取りやすくなる。繰り返すうちに発音がハッキリとしてきます。
まず、壁から50cmの位置から始め、自分の声を聞き取れるようになったら、1m、2mと壁との距離を伸ばしていきます。壁から離れるにつれて、声が大きくなっていきます。
話し手は、聞き手に向かって、意識して相手に伝えようとする「届ける声」で話すことが大切です。
例えば、話し手は、4~6m離れた複数の背中を向けた聞き手に「おーい」「こんにちは」「お元気ですか?」などの短い言葉をかけます。何回か繰り返すうちに、特定の人に声が届くようになっていきます。
なかなか声を届けられないときは「3秒間、息を吸って、2秒止め、15秒で吐き出す」というトレーニングを繰り返して行い、力強い声を出せるようにします。
何もせずに「出てくる声」を話す声だと思っている人が多い。まずはその意識を変えることが大切になります。
声はすぐに変化するものではありません。時間をかけて育てるようにしましょう。
3 態度
姿勢や視線、身ぶり、手ぶりなどです。
話に合わせて表情を変えたり、身ぶり手ぶりをしたりすることで、話を「見える化」することが大切です。
話は聞かれていると同時に、見られています。目からの情報が聞き手に大きな影響を与えています。
4 相手への思いやり
聞き手の立場になって考えることができるか、ということです。自分よりも相手を考えることが大切です。
この「相手への思いやり」だけが、かけ算になっています。もし、これが0だったら、話す力は0です。
つまり「相手への思いやり」が話す力の最も重要な要素なのです。「相手への思いやり」を高めることが、話す力に大きくつながります。
(菊池省三:1959年生まれ、 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「
菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)
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