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子どもが問題行動を起こしたとき、親は子どもにどう接すればよいのでしょうか

 子どもが問題行動を起こすと、親は突然の豹変ぶりに驚きあわてる。しかし、子どもの心の中では、以前から変化が生じていたのに、親はそれに気づかなかったことが多い。
 親から「こういう場合、何と言ってやれば、子どもはなおるのでしょうか」とよく聞かれる。
 子ども問題行動の多くは、それまでの親子関係を徐々に組み替えることで解決に向かっていく。
 ひと言で子どもが立ち直るといった魔法の呪文はない。
 しかし、子どもが変わるきっかけとなることはある。
 問題行動を起こしている子どもが、それを周囲の誰かのせいにしているうちは、そこから抜け出せない。
 自分の問題として引き受けたとき、はじめて回復に向かうことができる。
 子どもの問題行動を解決するには、子どもの心に働きかける必要がある。もつれた子どもの心の糸を解きほぐすのは容易ではないが、愛情と時間を惜しまなければ必ずできる。
 いつか回復することを信じて接すれば、親子の絆を取り戻すことができるのだ。
 その過程は決して平たんではないが、試練を通して、子どもが変わり、親も変わり、精神的に成長するだろう。親子の絆は以前よりずっと強くなっているはずだ。
 子どもが問題行動を起こすと、落伍者のレッテルを貼られることが少なくない。親が自分の子どもをそんな目で見てしまうのだ。
 子どもを支えるはずの親が説教したり、非難したりしがちになり、ますます子どもを追いやることになる。
 そんなときこそ、親は子どもを信頼してほしい。子どもへの信頼が何よりも大事なことは、私がスクールカウンセラーを始めたばかりのころ、一人の教師から教えられた。
 子どもに建て前を振りかざして説教するのは、親子のギャップを広げるだけだから、子どもの気持ちを動かそうとしたら、子どもと向き合い親の本音をストレートにぶつけるしかない。
 誰でも子育ては試行錯誤の連続だ。親は自分が子どもだった頃を思い出してほしい。
 思春期の頃は覚えているはずだ。そのころ、何を考えながら過ごしてきたのか、どんなことで悩んでいたのか、親との関係はどうだったのか、などを振り返ってほしい。
 振り返ってみると、親に期待していた言葉を言ってもらえなかったり、無神経な言葉に傷ついたことがあるに違いない。もちろん、楽しかった思い出もあるだろう。
 それを実感とともに思い出せば、いま自分の子どもにどう接すればいいか見えてくるはずだ。
 子どもが悩んでいたら、自分が同じ年頃のときに何を悩んでいたかを子どもに話してみるといい。子どもに本音で接することになるだろう。
 子どもの問題行動でカウンセリングに訪れる親を見ると、ほぼ例外なく、心の余裕を失っている。
 私はカウンセリングで、相談者に目のさめるようなアドバイスをしたりできるわけではない。じっくり相手の話に耳を傾け、その言葉の裏側にあるものを理解し、本当に訴えたいことを導き出そうと努めているだけだ。
 誰でも、自分の心の中にある、言いたくても言えなかったこと、それまで気づかなった本当の問題、一人で抱かえていた悩みや苦しみなどを口にしたとたん、半分は解決したのも同然だ。
 心の中で葛藤したり迷ったりする時間が必要だったのだ。
 子どもの話に耳を傾け、言いたいことを聞き出すのは、親や教師、友だちなどもできる。
 親にお願いしたいことは、子どもが問題行動を起こしたとき、子どもの様子がおかしいときは、子どもの話に耳を傾けてほしい。
「いまの気持ちを話してくれるとありがたいんだけど」
「お前もつらかったんだね」
という具合に聞き役に徹し、重い口を開いてもらう。 
 人は話すことで自分の気持ちを整理したり、言葉にすると気づくことがある。子どもも話しているうちは、自分の心を見つめることができるようになる。
 子どもが親と口を利きたくないようなら、子どもの友だちを家に呼んだり、親戚のお兄さんやお姉さんに来てもらって、話し相手になってもらう。
 心の中の葛藤というのは、何本もの糸が絡まり合った状態だ。それを言葉にすることによって、絡まった糸を一本ずつ抜き取り、ほぐしていく作業になる。
 問い詰めずに、話しやすい雰囲気をつくり、言い出すまで待つことが大切だ。
「言いたいことがあれば、今日でなくてもいいから、言いたくなったら、言いにきなさい」と促せばいい。
 自分の気持ちや言い分を言葉にすることを通じて、子どもは失いかけていた自分を組み立て直す必要がある。
 そのうち子どものほうから、言い出したら「じゃあ、どうしたらいいか考えてみよう」と親子で話し合えばいい。子どもが自分で解決策を考え、自分で選択することが大切なのだ。
 子どもの選択は最善でないかもしれない。しかし、子どもの心は大きく成長するはずだ。たとえ間違った選択でも、自分で選択したことならやり直しができる。
 子どもと気持ちのいいコミュニケーションができないという人は「私メッセージ」を発するといい。
 相手を主語にするのではなく、自分を主語にする。叱るのではなく、自分の気持ちを伝えることになる。たとえば
「あなたは、掃除するそばから、散らかすんだから!」
と叱るのではなく、
「せっかく掃除をしたのに、もう散らかって、お母さんはがっかりだわ」
と言うことになる。
 運動部のコーチに言わせると、子どもは叱るよりも、ほめたほうが伸びるが、ここ一番というときは、叱ったほうがいいことがあるという。
 例えば、いい結果が出ると、慢心する子がいる。練習に熱が入らず、手を抜く。そんなとき「少し上達したからといって、つけあがるな」と雷を落とす。
 そういうときは、やさしく言って聞かせるより、ガツンと叱ったほうが効くそうだ。
 子育ても同じで、いつも叱っていては効果は薄い。9割はほめて、1割は叱る程度でちょうどいい。
 子どもが叱られても、納得できるタイミングをとらえ、ここ一番というときに叱るのだ。ただ、叱るときは、逃げ道を残してやる必要がある。
(
吉田勝明: 1956年福岡県生まれ、横浜相原病院院長)

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