「うちの子と遊ばないように言ってほしい」と言う保護者に、教師はどう対処すればよいか
小学校4年生の授業参観の日のことです。授業が終わった後に、A子の母親が相談したいことがあると言ってきました。
A子は、物静かでなかなか自己主張できない、おとなしい性格です。
相談の内容は、友だち関係についてでした。
「クラスの中に、わが子があまり好きでない子がいるのだが、その子は遊びの時間になると、わが子を誘ってくる。それがいやで、困っている」
というものでした。
その子から、いじめを受けたり、何かいやなことを言われたりしているのかを聞いてみましたが、そういうことはないようです。
ただ「あまり好きでない。他に遊びたい子がいる」と言っているだけだそうです。
A子に聞いてみると、好きでない子の名前は、すぐに教えてくれました。B子でした。
B子は活発に行動する子で、仕切りたがりのところがあります。おそらく、A子はB子のそういうところが好きにはなれなのだろうと思いました。
また、遊びたい子というのはC子でした。C子はおとなしく、いつも静かに教室で本を読んでいることの多い子です。
いつも寂しそうな表情をしているC子を思い浮かべました。家もA子の近くであり、幼い頃はよく遊んでいたそうです。
A子の母親は、わが子がB子に振り回されているのがいやなようです。
「先生からB子ちゃんに、わが子と遊ばないように言ってください」
「そして、C子ちゃんに、わが子を遊びに誘ってくれるように言ってください。わが子は自分で言えないので、先生に言ってほしいのです」
と要求してきました。どう対応すればよいのでしょうか。
小学校4年生の女の子は、もう自我が芽生え始め、自己主張も始める頃です。
「自分でB子の誘いを断り、C子に声をかけ、共に遊ぶようにさせる」ことが大切です。友だちは自分から求めることが基本です。
とは言っても、まだ自我の芽生えない子もいますから、教師が友だちづくりの手伝いをすることも、ときには必要でしょう。
まず、C子にA子への気持ちを聞き、同意を得たら、A子にC子へ声かけをさせることです。
そして、次に、B子の誘いを「今は〇〇をしたいの」と、やわらかく断る体験をA子にさせ、それを教師が見守ってあげることです。
どちらか一つでも、できたらA子をほめてください。徐々に自信を持つでしょう。
母親にもそのことを伝え「もうA子さんは、自分でできますよ」と見守ることを教えてください。
(諏訪耕一編集:1937年愛知県生まれ、元愛知県公立中学校教師。長野県に不登校の子どもの回復施設「浪合こころの相談室」を開設した)
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