教師の仕事のすごさとは、どのようなことなのでしょうか
私はすごく単純だから、やる気のなかった子がやる気になったり「先生、分かった!」と言って、一生懸命、学習に取り組んで、表情がすっごくよくなったりするでしょう。
そういう、ちょっとした子どもたちの変化を見ると、私の疲れが吹き飛んでしまう。
教師がその子のことを、とてもよく考えているんだ、ということがその子にわかったとき、その子は変わります。
子どもが変わると保護者も変わります。学校に振り向いてもくれなかった保護者が、いろんな会に参加してくれるようになったりすることがある。それがすごくうれしい。
私は教師になりさえすれば、子どもたちを支配できるんだと思っていました。
しかし、子どもは私に反抗し、子どもと取っ組み合いになって、私は便所に入って泣いた。子どもが可愛いなんて思わなかった。
私が自然体で子どもに接することができなかったことへの、痛烈な子どもたちのアピールだったんだと思います。
子どもたちは屈折していたりして、素顔が見えてくるまでに時間がかかりますからね。
あのころ、私は「ここで辞めたら、何のために教師になったのか分からなくなる」と意地で続けました。
問題行動をする子どもと関わらせてもらうなかで私は、成長させてもらったし、人間好きにさせてもらったっんだと思いますね。今では、本心から子どもがかわいいと思いますね。
私が初めて四年生の担任になったとき、ある子どもとどうしても気持ちが通じなかった。どう接してよいか、やり方も分からないし、その子と接するたびに悲しくなって、泣きながら自転車に乗って帰ったこともありました。
私は子どもにプラスの影響を与えられないと思うと、辛いし、辞めたほうがいいのかなあと思ったりしました。
でも、子どもって変わるんですよ。全然やる気のなかった子どもが、何度か話をしているうちに「先生、私、実行委員やってみる」と言い出して、どんどん変わっていく。
「私との関わりで変わってくれたのかもしれない」と思うと、ものすごくうれしい。教師という仕事はすばらしいと思ってしまいます。
この前、教え子が手紙をくれたんです。その子はあまり勉強ができなかったんですけれど、今、うどん屋で働いていて、仕事はきついわけ。
「でも先生、私はね、先生のクラスだったときのことを思い出すと、頑張れる」と書いてあるの。ジワーッと心にきました。
教師の仕事は、その子の人生に決定的な影響を及ぼすことがある。子どもは大人と違って純粋ですから、これが教師の仕事のすごさですよ。
(松下光志: 別冊宝島編集長)
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