今の自分のストレス状況を客観的に知り、対処するにはどうればよいか
ストレスを上手にコントロールするためには、まず大切なのはストレスに気づくことです。
こんなサインを発していませんか
(1)欠勤・遅刻・早退がめだつ
(2)身体の調子が悪いという訴えが頻繁になった
(3)よく眠れないと訴える
(4)服装がだらしなくなった
(5)些細なことで、怒りっぽくなった
(6)終始、何かを考え、セカセカ、イライラしている
(7)消費が多くなり、借金をするようになった
これに、当てはまる項目が、ご自分にあったでしょうか。周囲の方にあったでしょうか?
人間というのは、よくできていて、完全にへばってしまう前に、ストレスサインがでます。
人によってストレスサインはいろいろです。例えば、
(1)身体に出る
高血圧、神経性(狭心症・頻尿・皮膚炎)、胃腸の不調、食欲不振、喘息、眼精疲労、肩こり、疲れやすさなど
(2)心に出る
不安障害、強迫神経症、不眠、慢性疲労、怒りっぽさ、イライラなど
(3)嗜癖(このんでするくせ)・行動に出る
たばこ・酒・コーヒーなどの量が増える、パチンコや買い物が増える、集中困難、不適応行動など
(4)認知・行動障害
ミスが多い、ぼんやりしている、同じことをくり返し考える、誤答が増える、考え方の偏りが大きくなる、一つうまくいかないと次もダメだと思い込む、決断できないなど
このようなことがあれば要注意と自覚して、睡眠や休養をとって過ごすようにします。
まずは一日でいいですから、溜まった仕事などをいったん棚上げして、休養をとることが大切です。
自分の状況を客観的に知るためにストレスチェックを利用することはいいことだと思います。ウェブでも公開されており、すぐに自分の状態の目安がわかるようになっているものもあります(例:「心の健康チェックシート」srq-d)
ストレスを自覚したら、比較的元気なうちは「発散」を心がけます。人によってまちまちですが、多少余裕があるうちに効果があるとされているものは、
(1)信頼できる人に相談する
(2)それを人に話し、わかってもらう
(3)友人に助言を求めたり、助けてもらう
(4)人から問題解決の手がかりを求める
(5)気分転換のため、軽い運動をする
(6)見通しを得るために、しばらく離れてみる
(7)それをやり終えたとき、自分に何かほうびをあげる
(8)「それはあまり心配するものではない」と決める
(9)自分の不快な気分や怒りを人に知ってもらう
(10)いろいろ考え、その状況の見方や自分の考え方を変えてみる
(11)新しいことに取り組む前に、見通しや計画を立ててみる
(12)仕事が多すぎたり、忙しすぎたりすれば、そのことを人に伝える
以上の項目について、自分をふりかえって「そうである=1点」「そうでない=0」としたとき、合計6点以下の人は、効果的な対処行動がうまくいかないと言われています。
ストレス対処法は、そのときの本人のキャパシティや状態によって、何がよいか変わりますから、あくまで目安にしてくださいね。
ダウンしかかっていても「逃げたことになるから」といって、睡眠や休養をとらない方がいます。
本当にへばってしまっているならば、とにかく一時避難をして、睡眠や休養をとることが大切です。
余裕がなくなり、ストレス発散できないとき、何をおいても、ぐっすりと眠ることです。心身の健康は、質のよい睡眠からつくられます。
ストレスで、まずいかなと感じたら、ぐっすり眠ることがメンタルヘルス維持のポイントです。質のよい睡眠が、最大の予防であり治療であると言っても過言ではありません。
眠れているかの、大ざっぱな目安は
(1)寝つきが悪い(1時間以上、寝つけない)
(2)夜中に何度も目が覚める
(3)朝早くに目が覚めて、その後、眠れない
(4)寝た気がしない(時間的には寝ている、本人に「寝たな」という実感がない)
1つでも当てはまり、2週間以上つらい思いをしているようでしたら、早めに近くの心療内科、精神科、メンタルクリニック等の受診を考えましょう。早めの受診が、こじらせないポイントです。
メンタルヘルス対策で難しいのが、自分が今どれだけストレスにやられやすいかを知り、その段階に応じた対処法をとることです。
チェックシートをおこなったり、メンタルヘルス相談、健康相談などを活用したりして、客観的に自分の状態を知り、今の状況に合った対処法をとってください。
(井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター主任心理療法士。学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援している)
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