保護者から学校で子どものしつけをしっかりしてほしいと電話があった、どう対応すればよいか
保護者から学校もしっかりしつけをしてくれないと困ると電話があった。
保護者の話を十分に聞き、訴えの真意がどこにあるかを把握する必要がある。
しつけは、学校と保護者双方が押しつけあっていては、子どもの生き方を不幸にするだけである。
まずは、学級通信で「子どもたちが安心して勉強できるように、学習習慣や基本的な学級生活の指導も十分にしていきます」との趣旨を保護者に連絡するようにする。
しつけについて、保護者に再認識していただくために、PTAの会や合同懇談会等で、校長がつぎのような視点から共通理解を図りたい。
(1)しつけは、学校生活および社会にとって望ましいと認められる行為である。
(2)しつけは、個人の生き方と社会を豊かなものにするうえで、不可欠な基本要件である。
(3)しつけは、単なる行為のかたちや、指導の繰り返しに終始するものではない。個々の動機づけや家庭教育にも裏づけされた自発性と主体性によることが大切である。
(4)しつけは、社会の風習や常識に根ざすものであり、親の子育て観や家庭のあり方ともかかわる。学校教育での計画的な指導とも呼応させ、子どもの発達や状況に合わせた習慣形成を図る必要がある。
(5)しつけは、日常生活での健康・安全、家族や友人との好ましい人間関係などについては、各家庭での身のつけ方が学校生活のあり方にも少なからず影響する。
教師の間で確認したい、しつけとは
子どもたちが、自己実現していく視点、子どもの基本的学習習慣の欠如などから、つぎの指導の徹底をはかり、保護者にも理解を求めたい。
(1)時間にかかわる習慣
授業の始めと終わりにけじめをつける。休み時間を守って遊ぶ。決められた時間内で教室移動する。約束の時間を守る。など
(2)物や環境の習慣
自他の持ち物を大切にする。後片づけや公共物の扱いを適切に行う。教科書を丁寧に扱う。教室などの学校環境の美化に努める。整理整頓の習慣をつける。など
(3)集団生活の習慣
朝や帰りにあいさつをする。場に応じて敬語や丁寧語などの言葉づかいができる。グループ活動で協力し合う。相手の話を聴く習慣がある。など
(4)健康や安全の習慣
本を読んだり文字を書いたりする姿勢。手洗いや歯磨きの習慣。睡眠や食事など日々の健康管理。災害時の安全への意識や避難の行動。など
(5)学習技能の習慣
ノートの取り方。丁寧な記録の仕方。授業中の挙手の仕方。発表の仕方。話し方・聞き方。など
(有村久春:1948年生まれ、東京都公立学校教員・小学校長・岐阜大学教授を経て東京聖栄大学教授。専門は生徒指導論、カウンセリング、特別活動論)
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