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何かと文句をつける保護者にどう対応すればよいか

 保護者の中に「文句の多い」といわれる人がいる。
 ひと言文句を言わないと、気の済まない人なのであろう。我慢できない人である。
 こうした人は、学校や担任に何かと文句をつけてくる。
 自分の意見と相手の意見を合わせて、一致点をみつけて手を打つことを知らないのだろう。自説を押しつけないと、気の済まない保護者である。
 わが子本位、わたし中心で文句をつけられては、担任は閉口する。
 保護者のAさんは、素直にものを言うのはいいが、いささか度が過ぎているようだ。文句ばかり言う人と職員室の話題になっている。一例をあげると、
 二泊三日の自然教室の実施を説明すると、Aさんは「うちの子は参加させたくない」と担任に申し出た。理由は「子どもの安全が確保されていないようだから」と。
 Bさんに、安全確保について詳しく説明すれば「うちの子は、ホテル以外は宿泊したことがないので」と渋り「学校は計画を中止せよ」と言って帰っていくのである。
 つまり、学校のすることには文句をつけてみたいのである。
 参加したくないのであれば、欠席でもいいがと担任が言えば「わが子だけが行かないのでは、子どものためによくない。全員を不参加にできないか」と、言い出す始末。
 これでは、できない相談というものではないか。
 こうなると、学校の教育活動をまもれない。校長・教頭の出番である。
 校長がAさんを呼んだ。そして、学校の教育計画とは何か、自然教室の意義と現在までの経過等を、わかりやすく説明したのである。
 さらに、Aさんがわが子を参加させたくない理由は、何であるかもたずねた。
 計画に文句をつけてみたいだけのようであった。交渉の過程のどこかで、手を打つことも知らない人のようである。
「多くの子どもたちが楽しみにしている行事を、中止することは全く考えてない」と、校長が力強く述べて、Aさんの子どもの自然教室の不参加問題は妥結した。
 それにしても、なんと時間を食ったことか。
 保護者のBさんは、わが子の担任について、自分の意に沿わないことは、連絡帳や電話であれもこれもと言ってくる。
 そして、担任が答えきれないことについては、教頭に電話を入れてくる。その対応に3,40分はかかる。
 今回は「授業中の担任の指名に偏りがある。改めよ」と、文句と注文と苦情である。
 教頭はひとまず「事実を確認するから」と回答した。事実を確かめてみたが、そうしたことはなさそうである。
 そこで、校長に経過を報告し、了承を得てからBさんに、そうしたことはなさそうであると連絡した。
 Bさんは「うちの子が、そう言っているだけではない。ほかの親も、気にしている」と言う。これでまた、騒ぎが広がるかと、教頭と担任がうんざりした。
 教頭から報告を受けた校長は、Bさんに事実を見てもらうことが、今後のためにいいと判断。学級公開日を1週間設けるようにした。
 Bさんの文句は事実無根のものであると、Bさんに納得してもらうこと、また、Bさんに同調しがちな親の分断も図ろうとしたのである。
 具体的な場を設け、文句を言わない方がいいのだと、感じてもらうことは、解決の策の一つである。
 ただし、こうした策をとると、またまた文句を発生させることもあるが、この事例では成功した。
 こうした機会を設けることで、保護者たちのなかの良識派がBさん厳しい視線を向け始めた。保護者たちを巻き込んだ策も、状況によっては考えられる。
(飯田 稔:1933年生まれ。千葉大学附属小学校に28年勤務、同校副校長を経て、千葉県浦安市立浦安小学校校長。千葉経済大学短期大学部名誉教授。学校現場の実践に根ざしたアドバイスには説得力がある)

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