小学校高学年の保護者の思いに応えるには、どのようにすればよいか
小学校高学年の保護者対応を考える時には、高学年の子どもの状況と家庭で起こり得る問題を考えなくてはならないでしょう。どのように対応すればよいのでしょうか。
1 思春期の対応の仕方を保護者に話しましょう
思春期の子どもたちは親になんでも話さないものです。
保護者は、子どもたちのことが分からなくなっていきます。
学校での話は、正確に親に伝わりません。たずねようとしても、反発して反抗する子どもたちも多いものです。
「子どもが反抗して困ります」
「話しかけても、何も返事しません」
「親が言っても、聞く耳を持たないみたいです」
保護者の中には、こうした子どもたちの実態に戸惑い、悩んでいる人も多いのです。
教師が保護者に思春期について次のように話をするとよい。保護者は専門家としての教師の言葉を待っているのです。
「思春期になると、自覚していないのに、体は変化していくので、体がざわめくような感じになります」
「したがって、落ち着かないし、自分であって自分でないような感覚も出てきます」
「自分でも、どうしようもない状態になります。大人が理解してあげましょう。少し、距離をおいて見てあげることも大切です」
と、これからのポイントとなることを話します。
さらに、こういう時期だからこそ、学校と連携していかないと、子どもたちの様子がつかめないということを、話します。
学校と保護者が一緒に子どもたちのことを考えていきましょうという話は、通じることはないでしようか。
個別の保護者に対するアドバイスとしては、ともかく、子どもを否定しないことです。
否定からは信頼は生まれません。教師は子どもを肯定する事実を見つけ出して、保護者と話をするのです。
「確かに反抗的な態度をとる時もありますが、低学年の子どもの面倒みは、とてもいいんですよ」
「友だちが困った時に、そうっと側にいてあげているようですよ」
子どもの今の状態について不安に思っている保護者には、そんな言葉が必ず響きます。
2 問題が深刻化する
高学年になると、低学年の時から積み上がってきたことが、大きく表面化してくるのです。傷が深く重くなるのです。
そういう中で、高学年の保護者の悩みも深刻化し、多くの人が悩んでいると思った方がよいと思います。
私は、事実の記録を積み重ねて、正直に全部話すのがよいと思います。
「こういう事実があって、こんなふうに経過しています。子どものために、一緒に考えていきましょう」
と、話します。
魔法のように解決できる教師など、いません。一緒に悩んで、知恵を出し合うしかないのです。
ただし、いじめだと考えられる案件については、常に教師一人で対応せず学年で取り組んでいることを示すだけで、少し安心されることがあります。
3 将来への不安を取り除く
高学年の保護者は、わが子が
「この子が将来どんな子どもになるのだろうか」とか
「こんな態度をとっていて、うちの子のことが、心配です」
と、不安を持ちがちです。
みんなそういう時期を経て、それなりにちゃんと育っていくものだということを、実例を用いて話してあげましょう。
結局、高学年の保護者への対応というものは、子どもの後ろに立って、子どもを見つめながら、保護者とどう話し合っていくのかだと思います。
(多賀一郎:1955年生まれ、神戸大学附属小学校を経て私立小学校教師。退職後は追手門学院小学校講師、専門は国語教育。在職中に日本私立小学校連盟国語部全国委員長歴任。親塾・教師塾等で保護者・教師教育の手助けをし、全国で講演)
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