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生徒をやる気にするコツとは何でしょうか

 中学生をやる気にするには「コツ」がある。
 どんな教師も生徒を良くしたい、成長させたいと考えている。目的は同じでも、教師がやっていることに大きな違いがあるのだ。中学生をやる気にするには、次のような「コツ」がある。
 気になることがあると、生徒にエピソードを語り、よい考え方を話す
 私は、気になることがあると、忘れないようにノートにメモをし、朝の会、帰りの会で生徒に話すことにしている。
 私が気になると判断するポイントは「これは人としておかしい」ということである。
 私は未熟な人間で、感覚がおかしなときもあるから、学年主任や教頭などに話をし、フィルターをかけてから話すことにしている。
 気になることを放っておくと、あとで大変なことになることが多かった。
「これはおかしいな」と感じたことを、そのときに生徒たちに投げかけておくと、抑止力になることがある。
 教師が「これはおかしいな」と感じたことは、必ず「おかしいな」と生徒も感じる。
 そのおかしなことを放っておくと「あの先生は、おかしなことをしても許される」と生徒は思う。
「おかしいな」という行為は、限られた生徒で始まる。しかし、それを放っておくと、普通の生徒に広まる。
 それをくい止めるのは、教師が「エピソードを語り、よい考え方を話す」ことだ。生徒をやる気にさせることができる。
 教師は本を読み、人と会って話を聞き、良い考えを身につけることでよい実践ができ、生徒によい考えを伝えることができる。
 エピソードは本当にあった話である。場面や人物を生徒がイメージできるように話すのだ。そのときの、思いや考えを話すのだ。
 信頼したい教師のエピソードなら、中学生は聞く耳を持っている。
 初恋の思い出や、失恋の話、進路決定の話や失敗談、中学生は本当にあった体験談を待っている。
 生徒に語るとき、もっとも多いテーマは「友情」と「本当の友だち」である。
 どんなにやんちゃな生徒も、どんなに指導が通らない生徒も、この二つのテーマは理解できる。
 どんなことをすること、どんな言葉をかけることが「友情なのか」
 どんな姿が「本当の友だち」の姿なのか。
 そのようなことを教師が見ていて語ってあげることだ。
 何が「友情」で、どんな友だちが「本当の友だち」なのか、生徒が理解できても、自分の目の前の現実と結びつけられないのだ。そこを繋いであげるのが、教師の話だ。
 生徒に話すとき注意することは、中学生には直球の指導はなかなか通じないことだ。そこで、AさせたいならBと言うとよい。
 教師が直球で指導する内容なら、中学生にもわかっていることなのだ。わかっているけれど行動できない生徒の心をくすぐるBのフレーズを考えるのだ。
 例えば、授業を妨害することが悪いことだと誰でもわかる。それをもうやるなというのは直球の指導である。自分の何が悪かったのか思春期の心をくすぐる話をするのだ。
 その話をするときの前提になるのが「教師と生徒」との関係である。
 生徒との関係づくりが一番大切だ。
 自分のことをほめてくれる人の話なら生徒も聞く耳を持つようになる。
 笑顔で自分のことを迎えてくれる大人に中学生は安心する。
 教師と目が合うと生徒がやる気になる。
 教師からの朝のあいさつが大事だ。生徒は声をかけられると、関心を持ってくれている、理解しようとしてくれていると感じる。自分と関係を作ろうとしている人なのだと感じる。
 教師の一番の仕事は生徒をはげましつづけることと考えている。どの子も一人の例外もなく励ますことだ。
 教師の言うことを無視し、指示に従わない生徒は、自分を見つめ自分を変えられるはずがない。
 そうできるように教師が励ますのだ。大人の私が別の方法でかかわり続けることしか方法はないと私は思うようになった。
 それからは、その生徒に毎日一回は声をかけること、休んだときは家庭訪問すること、話を聞いてもらえなければ、手紙やはがきを書いてなんとか思いを伝えようとし続けた。
 どんな手のかかる生徒でも、教師がかかわり続け、励まし続ければ、生徒は必ず変わっていく。自分で動き出し、やる気を持つようになる。
 生徒の考えていることを一度は受け入れてみることだ。生徒はなかなか自分を変えられない。ならば、教師が生徒の考えや行動の意味を受け入れ、対応を考えていくことが今後ますます必要になる。
 そのとき必要なのが生徒と教師の「理解と納得」の関係である。
 思春期を迎えた生徒は、大人の言動を批判的に見ている。生徒の目の前で一緒に生活する教師がまじめでかっこよい、あこがれるような姿を毎日示すことだ。
 特別なことではない、進んであいさつをする。掃除をする。給食の配膳をする。このようなことを毎日積み重ねるのだ。そういう姿を生徒は見ている。
 中学生が望んでいる教師は、
(1)
どんなに勉強ができない生徒も、最後まで面倒をみてくれる教師。
(2)
口だけではない、自らやってみせる教師。
 中学生は口だけの大人の言うことをきかない。中学生がやる気になるのは、言ったことをやっている教師である。
 教師が生徒に言ったことは、教師が生徒の何倍もやることだ。そういう教師の姿を中学生は必ず見ている。
 毎日、教師が一緒にやるから、教師が「〇〇しなさい」という指示もきくようになる。
(3)
どんな困難なことでも、あきらめない教師
 学級で問題が起きたとき、教師が何と言うか生徒はいつも注目している。教師の腕の見せ所だ。問題は生徒が成長し教師が成長するために欠かせぬものだ。
 問題を解決しようと、やり続ける教師なら、中学生は認めてくれる。
 何もしない教師や、何も言わない教師を見ると、生徒は確実にやる気をなくし、学級をよくしていこうという思いをあきらめていくことになる。
(
垣内秀明:1965年長野県生まれ、長野県公立中学校教師。教育サークルTOSS中学信州代表
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