教師が出した指示に、子どもたちを必ず従わせるには、どのようにすればよいか
教室で子どもの能力を引き出し伸ばすためには、子どもたちと闘わねばならない。
私の学級では、10個の漢字を練習させるとき、5つごとに教師のチェックを受けるきまりになっている。
練習を始める前、子どもたちに予告をする。
「線から大きくはみ出していた場合や、丁寧に書いていない場合は、書き直しをしてもらいます」
漢字を乱雑に書いてくるやんちゃな子がいる。ここで妥協してはならない。教師の姿勢を問われる場面である。
やや厳しい口調でやり直し命じる。指示どおり書き直してきたら
「素直に聞ける人は、何をやっても伸びる人だ。えらいぞ」
などと、大いにほめてあげる。
子どもに「やり直し」をさせる場合は、必ず予告することを忘れてはいけない。
授業という真剣勝負の場で勝つために最も必要なことは
「一度出した指示には、必ず従わせる」ことだと、私は考えている。
子どもが教師の指示に従わなければ、授業は成立しない。教師の生命線に関わることである。教師が、なまはんかな気持ちでは通用しない。
子どもは教師に本気で体当たりしてくるのである。それを受ける教師も覚悟が必要だということだ。
教師が「気持ち」で、子どもたちに負けていては、勝負にならないのである。
教師の指示に学級の子どもが従わなくてよいと考えている場合は、指示を考え直す必要がある。
「一時に一事の原則」を守って指示を出しているか。
教師の思いつきで指示を出していないか。
「教師の思いを込めて」指示を出すことが大切である。
「このように動いてほしい」という思いを言葉に乗せて指示を出すのだ。
「子どもに分からせる」という気迫を持って指示を出す。
「言葉を削り、分かりやすく」指示を出す。
この意識を持つだけで、指示の通り方がずいぶんと変わってくる。
教師の話し方も大切だ。
子どもたちと「目を合わせて」話すようにする。
視線を合わせることで、教師が「自分に話をしている」という意識をどの子にも持たせることができる。
授業開始の第一声も極めて重要だ。教師の力量が表れる。授業の流れを大きく左右するほどの意味を持つ。
力のある教師の第一声はぐいと引きつけられる。言葉に力を感じるのだ。
授業開始の第一声で、教室の空気を支配してしまう。
日々の修業の積み重ねがあって身につくものである。
指示が通るためには、教師と子どもの人間関係が大切である。
教師は感性の鋭い子どもを動かすのである。
子どもを動かすには、子どもに対する深い理解を必要とする。
技術だけで子どもを動かすことはできない。
子どもを動かすうえで重要なことは、教師の「子どもに対する気持ち」である。
子ども一人ひとりに対して
「あなたのことを真剣に考えているのですよ」
という気持ちを忘れてはいけない。
教師の気持ちの持ち方が、指示や表情に表れる。
子どもたちは、それを敏感に感じとる。
子どもに対する愛情や気持ちがあったうえで、一つ一つの技術が生きてくる。
授業が「真剣勝負の場だ」ということが、子どもなりに感じるようになるのだ。
そのことに子どもが気づいたとき、子どもの動きが格段に良くなった。
(吉元輝明:鹿児島県公立小学校教師)
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